デジタルメディアの登場により、その価値の説明が難しくなったと言われるアナログメディア。電通の前川駿氏は、ファーストパーティ・データの活用で、アナログメディアの価値の可視化、さらには有効活用法を見出すことができるようになっていると解説する。
近江商人の心得に「売り手よし、買い手よし、世間よし。三方よし」という格言があります。この言葉の背景には、三方よしであることが長期的な顧客生涯価値を考えた場合に重要で、その姿勢こそが、商売繁盛の秘訣であることが歴史によって証明されてきたと考えています。
今回、「データを活用すれば、アナログメディアの価値を高められる」というテーマですが、この価値とは誰にとっての価値なのか。私は近江商人の確信と同じく「消費者」、「メディア」、「広告主」の三方にとって価値、という視点で語らなければ本当の意味で「アナログメディアの価値を高められる」とは言えない、と考えています。そして、三方にとって価値のあるデータの活用がありえる時代になりつつあるのです。
KPIへの貢献が見えるように!?
テレビ、新聞、雑誌、OOH、ラジオ、いわゆるアナログメディアの広告販売は、ますます難しくなっていると感じています。それは、ほかならぬ「デジタルメディア」の登場によるものでしょう。消費者の顧客接点が分散化したことも、理由の一つだとは思いますが、広告会社の立場で痛烈に感じるのは、アナログメディアは認知や興味といった態度変容では価値が確認できるものの、その先の広告主のコンバージョンという購買に近いKPIに対してどんな意味や価値があるのか、その説明がはっきりしないということです。
メディアを販売するために活用できるデータで言えば …