2020年を境に減収傾向へ
民放連研究所はこのほど、2016年度から2025年度までの地上波テレビ、ラジオの営業収入の中期見通しを発表した。テレビは2019年度までは微増で推移し、2020年度は東京オリンピック開催に伴い1%を超える伸びを予想。しかし、2021年度以降は若干のマイナス傾向になると予測している。中期予測のベースとなる経済環境と企業収益は、日本経済研究センターの中期経済予測を基にした。
日本経済の潜在成長率は2010年代前半の0.5%から緩やかに低下が続き、2020年代後半にはほぼゼロになると予測。実質成長率は、16~20年度が年平均0.6%だが、21~25年度には0.3%になると予測した。
期待の反面、大幅な増収には苦戦
2016~2019年度の地上波テレビ営業収入(テレビ放送事業収入+テレビ単営社の「その他事業収入」)は、景気と企業収益の緩やかな拡大基調の下、微増程度の水準で推移すると予測。
東名阪は、スポットのプラス基調が継続し、各社の「その他事業収入」拡大に向けた取り組みなどから、増収基調を維持する見込みだ。ローカル局は、東名阪に比べスポットのプラス幅が小さいと考えられるが、マイナスでの推移は予測されず、東名阪と同様、各社の「その他事業収入」の開拓などの増収策がある程度プラスに寄与すると想定している。
2020年度は、東京オリンピック開催にともなうタイムの出稿やスポットキャンペーン、イベントの活性化などにより、テレビ全体で1%超の伸びを予測した。ただ、(1)景気が盛り上がりに欠けると予測されていることや、(2)タイム収入の増加分がスポット枠の減少につながること、(3)スポットのGRPが現在以上に減少している可能性が高いこと、などを考慮すると「大幅な増収は期待し難い」と指摘されている。
続く2021年度は、テレビ全体で1.1%減、東名阪1.2%減、ローカル0.8%減と前年度の反動による減少を予測。2022年度から2025年度にかけての4年間は、日本経済の成長率鈍化と弱含みの企業収益の影響からテレビ全体が前年度比0%で推移すると見られる。東名阪は ...