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中小規模エージェンシーの秀逸事例に注目

国際広告賞の『受賞レース』では大手エージェンシーネットワークの広告・キャンペーンに目が向きがちだ。しかし、広告をビジネス上の成果につなげ、クライアントからの信頼を集めているのは、大手広告会社ばかりではない。米アドエイジ誌が発表した「Small Agency Awards 2016」の結果から、中小規模のエージェンシーが手がけた秀逸な広告事例に注目する。

01 エージェンシー・オブ・ザ・イヤー ゴールド
競合コンペに「NO!」広告界内外に呼びかける

Zulu Alpha Kilo

従業員150人以下の独立系エージェンシーと、彼らが手がけた広告・キャンペーンを対象に表彰が行われる、アドエイジ誌の「Small Agency Awards」。優れたエージェンシーに贈られる「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」のゴールドに選出されたのは、カナダのトロントに本拠地を置くクリエイティブエージェンシー Zulu Alpha Kiloだ。米国以外の企業がトップに選ばれるのは初めてのことだという。

近年の同社の仕事で特に注目を集めたのが、2015年11月に公開した動画「Spec|#saynotospec(スペックワークに「NO」を!)」だ。いわゆる『スペックワーク(タダ働きの可能性が濃厚な仕事。広告やデザイン業界における競合コンペを指して使われることが多い)』を批判する内容で、Zulu Alpha Kiloのポリシーを示した動画と言ってもいいだろう。

主人公の男性が、建築家や料理人、バリスタ、パーソナルトレーナーといったさまざまな分野のプロフェッショナルを訪ね、「お金はないんだけど…」と『タダ働き』を要求するものの、ことごとく玉砕。加えて、顧客の獲得の仕方など、プロフェッショナルたちの仕事観にも触れる内容となっている。

「新しい仕事を獲得するために、(骨折り損になる可能性のある)競合コンペが果たして最善のプロセスなのか?」と問題提起し、「エージェンシーとクライアントをマッチングするには、他にもっと良い方法があるはずだ」と広告界に向けて呼びかけた。

同社は、コカ・コーラ社のアカウントを獲得した6年ほど前から、スペックワークを一切行わなくなったことで知られている。

これに業界内外の多くのプロフェッショナルが反応 ...

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