11月10日、ブランドコンサルティング事業を手掛けるフォワードが、BtoB企業のコミュニケーション・経営企画担当者に向けて「インナーブランディング」セミナーを開催。先進企業の実践例から、BtoB企業ならではの共感を生む秘訣を伝えた。
社員一人ひとりのベクトルを揃える
今、社員の心の向きをそろえる『インナーブランディング』の重要性が改めて見直されている。特にBtoB企業は、BtoC企業と比べると対外的な認知度も低く、最終商品がわかりにくいことも多いため、社会への貢献価値や自社の存在意義を社員に体感させることが難しい。そこで、本セミナーでは先進BtoB企業の事例を交えながら、BtoB企業ならではの共感を生む秘訣が紹介された。
第1部では、フォワード代表取締役社長の加藤明拓氏から、インナーブランディングの戦略づくりの基本が語られた。加藤氏は、大事なのはブランド価値を基点とした、業務フローの整備やルール設計・人材育成や社内コミュニケーションなど組織の仕組みづくりだと強調する。「特にBtoB企業の顧客接点では、人(特に営業)の影響力が非常に大きい。それにもかかわらず、ブランド視点に立った営業パーソン育成は軽視されがちで、育成面は機能・スペックのインプットや、一般的な研修・行動マネジメントに留まりがちです」と加藤氏。ブランドの価値観を体現し、誇りを持って自社を語れる営業パーソンの育成が他社との差別化につながると話した。
第2部では、NECコーポレートマーケティング本部 ブランド戦略・IMCグループ 営業企画本部 兼務の山室元史氏、オムロン グローバルIR・コーポレートコミュニケーション本部 副本部長兼コーポレートコミュニケーション部長の井垣 勉氏が登壇し、加藤氏を交えたパネルディスカッションを行った。
山室氏は「BtoBの情報システムやネットワーキングサービスを事業の中核に置いたとき、社内外から『NECは何をする会社なのか?』と疑問の声が上がった。事業ドメインの再定義・新ブランドのステートメント開発から始め、最終的には社内の資料クリエイティブのトンマナまで一貫性を持たせた」とインナーブランディングの経緯を話した。
一方、「オムロンの場合、事業領域が広く、一つの言葉で多彩な事業を括り表現することが適切なのか?という疑問があった。そこでステートメントを廃止し、大方針を企業理念に集中させた。規則を整えるのではなく、企業理念に沿って各自が判断できる環境を整えたかった」と井垣氏。加藤氏は「明確なルールをつくることで、ブランドの価値を社員に浸透させるのか、あるいはルールを少なくして『考えさせる』ことで浸透させるのか。その時点での企業の状況によって判断していく必要がある」と補足した。
今後の展望として、山室氏は「単なるICTのベンダー、ではなく、NECが何を顧客に提供していくのか。それを各々が考えるためのストーリーづくりが必要」と語る。井垣氏は「メディアやデバイスの変化によって、拠点を超えた社内コミュニケーションの在り方も変化していく。一方、社員の情報発信のハードルが下がることでリスクが高まっているのは事実。会社のブランドを背負って責任あるコミュニケーションができる人材を育てていく必要がある」と語った。加藤氏は「ありとあらゆる情報発信のハードルが下がっている中で、お飾りの言葉は意味を持たなくなってきている。自社ブランドを語り体現していく社員をどれだけ育てられるかが差別化の鍵。ブランドへの誇りや愛着をつくっていくことが必要」と語った。
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