クロス・マーケティングと宣伝会議で運営する「インサイトスコープProject委員会」は10月21日に大阪のグランフロント大阪、28日に東京のiTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズの2会場で若者層の心理に迫るセミナーを開催した。
ネットで情報に触れて体験した気持ちになる!?
いつの時代も、大人世代にとって若者世代の意識や行動は理解しづらいことが多くあるもの。しかしデジタルネイティブ、さらにソーシャルネイティブ世代の広がりは、これまで以上に若者世代の行動を理解しがたいものにしている。総合的なマーケティング・サービスを提供するクロス・マーケティングと宣伝会議が2011年4月1日に設立した、「インサイトスコープProject委員会」では10月21日(大阪)、28日(東京)と2都市で、若年層の実態に迫るセミナー「買わない世代の行動原理―若者の行動の裏側にある新原則を探る」を開催した。
セミナーは「若者はなぜモノを買わないのか『シミュレーション消費という落とし穴』」の著書がある、クロス・マーケティンググループの堀 好伸氏の講演からスタート。堀氏は「若者はネット上に溢れる、リアリティある情報に多く触れることで、バーチャルでモノを体験し、シミュレーション疑似消費しているうちに、欲しい気持ちが薄れてしまっている。ここに若者の消費離れの理由がある」と指摘。体験や知識をバーチャルで積んでいる若年層に対しては、これまでにない満足感をイメージさせることが重要とし、カーシェアリングなどの事業を展開する「パーク24」が行う、「カーシェア利用シチュエーション投稿コンテスト」のケースを紹介した。
消費者からは「子供の夜泣きがひどいので、クルマの中で思う存分泣かせる」「飲み会後にカプセルホテル代わりに利用する」など、クルマを移動手段と考える企業側の想定を大きく超えた投稿が寄せられたという。消費者はクルマを移動手段としてだけではなく、カーシェアでクルマとの新しいつき合い方を広げている。消費者のインサイトに迫ることで、シミュレーション消費の壁を打破する、方法論も見えてきそうだ。
続く2部では2会場共に「若者のビール離れ”を打ち破れ!ヤッホー流、新商品開発・マーケティング戦略」をテーマにヤッホーブルーイングのマーケティング担当が登壇。「ビール離れ」と言われながら、20代後半から30代前半の世代から支持を集めた「僕ビール、君ビール。」の開発プロセスを説明した。「ビール離れと言われるが、本当に真実なのか。定量的、定性的にインサイトに迫ることで事実と理由を解き明かすことが大事」と話した。
さらに第3部ではエフティ資生堂「シーブリーズ」、ヴィレッジヴァンガード、富士フイルム「チェキ」、資生堂ジャパン「マジョリカ マジョルカ」のマーケティング担当が登壇してのパネルディスカッションが開催に。ソーシャルリスニングなどを介して、日夜ターゲット世代のインサイトに迫る努力をしている様子が見えてきた。若年層の気持ちを捉えづらくなっているのであれば、人口の多い高齢者をターゲットにしていけばよいという議論があるかもしれない。しかし各企業でエントリーブランドとなる商品を担当するマーケターによるディスカッションからは、化粧品、酒類、金融・保険など多くの企業にとって、若年層との接点は、企業と消費者との生涯にわたる関係づくりの一歩となる、重要なものであるという共通認識が見えてきた。
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