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スマホが変えるマーケティング 欲しくなる「瞬間」を捉える!

消費者の「瞬間(モーメント)」が捉えられるようになった理由

学習院大学 法学部教授 遠藤 薫氏

スマホをはじめとするモバイルが普及したことにより、生活者の行動にどんな変化をもたらし、人々が「欲しい」と思う瞬間を掴んでいるのか。調査結果をもとに、学習院大学法学部教授の遠藤薫氏に解説してもらう。

2004年の学園祭の様子。ピラミッド型の校舎の壁面に巨大映像を投影した。

特別な瞬間を捉える

「涙をのむより」の一場面

筆者のゼミでは毎年、学園祭で、ゼミ生たちのつくったショートフィルムの上映会を開いている。もう十数年の歴史を持つ伝統行事である。

最初の発想は、かつて学習院大学の中央に建っていたピラミッド型の校舎の壁面に巨大映像を投影したい、というものだった。当時は巨大映像といえば、アルタなどの大画面モニターに映す形式しかなかったが、もっと自由に、空間を映像で満たそうと考えたのだ。映像機材の会社や大学と交渉し、やっとのことで実現させた。「最近はやりのプロジェクション・マッピングなんて、僕らがずっと以前にやっていたことなんですよね」と、ゼミOBたちは自慢げに言う。

「○○したい」という欲望は、さまざまな困難を乗り越え、夢をかなえる力となる。

今年の作品の一つに、「涙をのむより」というフィルムがある。青春の初々しい恋とその終わり。裏切りの悲しみに心を切り裂かれたその瞬間、彼女に差し出されたのは…。

意表を突くラストに、息を詰めて成り行きを見つめていた観客たちの表情がふっと緩む。なんとこれは創作CM(CMとして構成された創作)だった。観客たちはまんまと騙された。でもそれはそんなに嫌な感じじゃない。むしろ、優しい笑みに口元がほころぶ。そして、映像で差し出された商品を買いに向かった(かどうかは定かではない)。

私たちが生きている時間は、さまざまな瞬間からできている。それぞれの瞬間は、例えそれがありふれた日常の中にあっても、絶え間なくこぼれる砂時計の砂のようにキラキラと輝いている。ソーシャルメディアは、いま、 …

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