消費者の「瞬間(モーメント)」が捉えられるようになった理由
スマホをはじめとするモバイルが普及したことにより、生活者の行動にどんな変化をもたらし、人々が「欲しい」と思う瞬間を掴んでいるのか。調査結果をもとに、学習院大学法学部教授の遠藤薫氏に解説してもらう。
スマホが変えるマーケティング 欲しくなる「瞬間」を捉える!
グーグルが提唱する「マイクロモーメント」は、モバイルの普及によって変わった、生活者の情報摂取行動とそれに伴う企業活動の変化を示唆している。リアルとWebの消費者行動をつなぎ、効果的な誘導を行うための考え方とは。
1日にスマホをチェックする回数は約150回―。
スマホの普及によって、生活者の行動は大きく変化している。ふと気になったことを反射的に検索したり、その場で購入したりすることが、容易にできるようになった。こうした行動の変化に注目したグーグルは、「人々が何らかの意図をもち、モバイルデバイスを手にした瞬間」を「マイクロモーメント」と呼んでいる。ふとした「気になる」「知りたい」「買いたい」「行きたい」の瞬間にこそ、ユーザーの『ニーズ』が潜んでいると提唱している。
「企業にとって大事な『マイクロモーメント』を捉え、適切なタイミングで、適切なメッセージを生活者に向けて届けることが非常に重要」だと、グーグルマーケティングマネージャーの森島知恵氏も語る。
グーグルがこうした生活者行動に注目した背景には、「検索行動の変化」がある。同社が実施した調査によると、生活者の検索のモチベーションは「何かをしたい」という強い気持ちから、顕在的な意志になる前の「ふと気になる」といった内容に変化しているという。デバイスが変わり、検索までのハードルが下がったことが要因だ…