一般消費者1000人アンケート 「広告」「広告業界」に、どんなイメージを持っていますか?
「消費者目線」「生活者起点」の重要性が叫ばれ、多くの広告パーソンが「顧客から共感を得ること」を最重要事項として捉え、日々さまざまなプロジェクトに臨んでいる。
日本の未来と共生できる広告・広告界
広告活動は、当然ながら企業の意思があって初めてスタートします。未来に向けて広告界が進化するためには、広告主の姿勢や取り組みがカギになることは間違いありません。旭化成 広報室長の山崎真人氏と、江崎グリコ マーケティング本部 広告部の玉井博久氏、業種の異なる2社の広告パーソンに、広告主と広告会社との関係性を中心に、考えを聞きました。
山崎: 広告界という視点から考えると、デジタル広告が進展してきたことで、すぐに結果が得られるようになってしまった。そのため、広告主も結果を早期に求める傾向が強くなったと感じています。インターネットですぐ注文ができ、アクセス数などのデータも見ることができるようになりましたから。
玉井: 当社においても、広告の投資効果がよりシビアに見られるようになってきたと感じています。
山崎: 短期的に売上などの結果を求めすぎる傾向はありますね。それは、決して悪いことではないかもしれないけれど、いろいろな部分で早期に成果を求めることで、広告業務が煩雑化している面はあるかもしれません。また最近、問題だと感じるのは広告主と広告会社、さらにメディアの体制のバランスが崩れていること。ビジネスのスピードはますます速くなり、広告主はスピードに乗ってグローバル展開も視野に入れているけれど、広告会社やメディアは国内を中心に考える。どうしても、そこに温度差が生まれてしまいますよね。
玉井: 話は変わりますが、山崎さんに一つ意見を伺いたいことがあって。私は広告業界を見ていて、生活者の動きを意識していないのではないかと感じることがあるんです。広告会社の人と話していると、これだけメディア環境が変わっていながら、今もテレビCMが中心の話になってしまう。でも、普段自分が生活をしていても、テレビを観る時間がほとんどないので、テレビを中心にした企画にはいち生活者としてピンとくることがないんです。これって自分も含めて、企業人としてものを考えるときに、生活者としての感性を忘れがちなのではないか、と。
山崎: 玉井さんのおっしゃるように、まだまだテレビCMの提案は多いですよね。今やメディアは多様化し、また個人がそれぞれのメディアから情報を入手するようになってきました。さまざまなメディアを組み合わせなければならない時代になってきているけれど、何が一番良いのかは我々も考えないといけない。
山崎: あと、これは学生に言いたいんだけど、思っているよりこの業界は地味ですよ(笑)。華やかなイメージがあるからいけないんだよね(笑)。
玉井: 地味ですよね(笑)。社内でも華やかな部署だと思われることは多いです。
山崎: 費用対効果も問われるし、効果を出そうと四苦八苦しているのが現状で、華やかなところなんて全然ないですから。広告界っていうのはイメージと現実のギャップが大きいですよね。
玉井: 本当にそうですよ。テレビCMや出演するタレントの印象で華やかだと思われているのだと思いますが、そんな世界に触れ合うのは仕事の中でも一瞬のことで(笑)。泥臭いですよね。ただ学生さんに限れば、広告自体に触れなくなってきているので、華やかなイメージすら持たれていないのではないか、と。昔は「あのCMが面白かった」とか「このCMが好きで…」と広告界を志望していた人が多かった気がしますが、今の若い方って、そんなふうに広告に触れていないような印象を受けますね…。
山崎: それはありますね。先ほども玉井さんがおっしゃっていたように、若い人は今テレビを観なくなったから。…