通信市場の再編相次ぐ一方 全米でテレビ局は1784局も
先月号で、米国のペイテレビ市場について書いたが、その後、通信会社AT&Tがタイム・ワーナーの買収計画を発表した。通信会社がコンテンツの制作会社を傘下に収め、制作から流通まで垂直統合する。インターネットをモバイル端末で楽しむ消費者が増えているが、問題は、米国のモバイル市場がAT&Tとベライゾンの2社で寡占状態なことである。コンテンツの出口が限られると、当然ながら多様な意見の出口も限定される。
通信市場と反対に、放送市場は、多様な意見を供給するという旗印のもと、まだ多くのテレビ局が存在している。全米にテレビ局は1784局。ただし、泣き所は広告収入の減少で経営が苦しい点である。今年は大統領選挙があり、クリントン陣営、トランプ陣営合わせて約290億円もテレビ広告に注ぎ込んでいる。
それに夏にはリオ五輪もあった。テレビ業界は、この4年に1度の五輪と大統領選挙の年にひと息つくのだが、それでも苦しい現状だ。そこで、事業をやめるか、再構築するかの岐路に立つ。ケーブルテレビや通信会社市場は …
あと65%