即席みそ汁の市場を開拓 定番の味を守り続けた永谷園「あさげ」の50年
高度経済成長期を経た1970年代、女性の社会進出に伴い、主婦の家事負担が増えつつある中で既に登場していた即席みそ汁。手ごろで便利なものとして一部利用されていたが、手づくりのみそ汁とは程遠いもの。そこで永谷園は“家庭のみそ汁と遜色ない上質な味わい”の実現をとことん追求した。
ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略
1966年にフランスで誕生し、クリームチーズのトップシェアである「kiri」。コミュニケーションを時代に合わせて変化させ、長年に渡り愛されるブランドとして走り続けている。
クリームチーズのトップシェアで、ポーションカテゴリーでは約6割のシェアを持つ「kiri(キリ)」が、50周年を迎えた。フランスのチーズ会社であるフロマジェリー・ベル社が「子どもでも食べやすい、高品質で栄養価の高いチーズ」づくりに取り組み、ポーションタイプのクリームチーズとして1966年に誕生した「キリ」。発売後、1970代には『キリは半ズボンをはいた美食家たちのチーズ』というキャンペーンを大々的に打ち出し、人気を得ていき、80年代に入ると、子供だけでなく家族全員で「キリ」を味わう家庭も増え、ヨーロッパや中東でも人気を広げていった。
日本上陸は1983年。日本初のポーションタイプのクリームチーズとして、伊藤ハムにより輸入販売が開始された。2000年に入ると、競合商品が続々と市場参入し始め、「より成長を求められるステージに入った」と、現在「キリ」を担当するブランドマネージャーの畑千絵氏は説明する。そして2005年、ベル社は日本におけるマーケティングカンパニーとしてベル ジャポンを設立する。
ベルジャポンはその設立直後から、戦略的なコミュニケーションを展開し始める。コンセプトを「子どものためのチーズ」から、「大人向けの品質の良いチーズ」に変更。長年商品パッケージに描かれていた少年『ピエール君』も姿を消した。CMも大人向けに変更。品質の良さと同時にエモーショナルな価値を訴求し、他社との差別化を図った。
50周年を迎えた今年は、20~40代の働く女性(色々な役割を持つ女性)をターゲットに「自分へのちょっとしたご褒美」をテーマにした、よりエモーショナルな訴求にリニューアル。「当社の強みは、認知拡大とブランド育成のためにコミュニケーションに投資し続けていること。特に2000年後半より大人向けのコミュニケーションにシフトして以降、売上は3倍近くまで伸びました」(畑氏)。今年は「日々忙しい大人の女性が『キリ』の美味しさで、ほっと自分に戻れること」を「ご褒美」というコンセプトに落とし込み、50周年キャンペーンや「キリカフェ(kiri café)」、コラボスイーツを展開して高い反響を得ている。今後は、チーズブランドとしてのビジネスをコアに、業務用にも力を入れて、「キリ」のお洒落でプレミアムな世界観を今以上に広げていく。
ベル ジャポンが設立された2005年からは日本でのCMもスタートし …