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人工知能、広告界と予測。

宣伝部の日常に、人工知能が浸透したら…?

神谷 勇樹(リノシス)/ 家永 佳奈(GROOVE X)

実際に人工知能が日常に浸透したとき、業務にどんな影響を与えるのか。マーケターとしての経験を持ち、人工知能を生かしたビジネスに携わる2人の方に、未来を予測してみてもらいました。

「販売促進」「商品開発」が変わる

すでに人工知能を活用した施策は、実は各所で始まっています。

飲食業界の例で言いますと、そのひとつが、クーポン配布などの「ディスカウント施策の最適化」です。顧客一人ひとりの、来店回数・前回来店からの日数・使用した金額・注文した商品・満足度といったデータを利用し、そのデータを用いて、機械学習を利用することで「明日この人が来店する確率」を日々算出できるようになっています。

さらに、クーポン配布によって来店する確率がどれくらい向上するかに加え、クーポンの種類によって来店確率がどう変わるのかも導き出せる。効率的にクーポンを配布することができるので、ばらまきによるブランド価値の毀損を最小限に抑えながら、ディスカウントによる集客効果の最大化を行うことができるわけです。

もうひとつ、「データに基づくメニュー開発」もできるようになっています。まずお客さまの注文データから、『なぜ、そのメニューを選んだのか』、メニューを要素に分けて捉えることから始めます。例えば「レバニラ炒め」であれば、素材としてはレバー、内臓、調理方法は炒め、味付けはオイスターソース、機能イメージとしては鉄分豊富、貧血対策などなど。こうした情報をPOSデータに付加してクラスタ分析することで、どの要素がどのお客さまに刺さっているのかが見えてくるのです。

そして、抽出された要素を組み合わせることで、お客さまにウケる新しいメニューを開発することができるのです。実際にこの手法を現場で試したところ、提供したメニューの売上がそれまでと比べ2倍になったという例も出ています。

単純な集計だけではなく、機械学習的なアプローチをすることで、従来人が店に立って、お客さまの表情や様子を見ながら考えていたことも、人工知能で再現できるようになるのです。ここで紹介したものは、すでに現場にも応用され、成果が出ている例です。

精度を左右するのはデータの質

宣伝・マーケティング領域も、人工知能によって変わる点は多いと思います。人工知能では代替しにくいだろうと思われているのは、特に企画などの右脳領域だと思いますが、クリエイティブすら人工知能の活用により、自動化できる余地が増えつつあります。

例えばキャッチコピーの制作はもちろん、画像の制作もいくつかのキーワードを入力すれば自動で適切な画像を描画してくれる、といったことも …

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