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話題になった、あのキャンペーン 「宣伝会議」に潜入!

紅茶を日常的な飲み物に!困難を打ち破るアイデアが生まれた会議とは

ユニリーバ・ジャパン

(右列上から)ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング 元島陽子氏/同社 河辺悠里氏/博報堂 小川元氏/(左列上から)WHITE 柴田要氏/タンバリン 木村元紀氏/アーキセプトシティ 室井淳司/博報堂 杉山ユキ氏/タンバリン 寺岡重人

目指すは麦茶のポジション!? 紅茶を日常的な飲み物に

ユニリーバ・ジャパンは、7月7日~8月31日の期間限定で、リプトンのフラッグショップ「Lipton Fruits in Tea OMOTESANDO plus Superfood」をオープン。表参道の街を行列で賑わせた。目指したのは、売上が落ち込む夏に、紅茶の飲用機会を増やすこと。企画を担当したメンバーに当時の話を聞いた。

元島:もともと紅茶は秋冬に多く飲まれ、夏は売り悩む時期。どうしたら季節性を打破できるのかという課題を持っていました。そんな中、昨年8月に当社からのオリエン、10月にディスカッションがあり、今の形を提案いただいたのが12月頃でした。企画を検討する段階では、当社としては、ものすごく振り切るものと、振り切らないものの2案で悩みましたね。

柴田:振り切らない案は、スーパーなどの店舗で地道にプロモーションをするというようなものでした。

元島:どちらの案にもリスクはある。その上で長期的・短期的に効果が出るもの、どちらを採るかというミーティングがあり、結果的に、長期で見て効果が期待できる案にかける決断をしました。

柴田:企画案を考える上では、「カジュアル化」と「スタイル化」のキーワードがありました。麦茶のように冷蔵庫に常備してもらえるよう、日常的で敷居の低いものにしなければならない一方で、リプトンらしい楽しさというか、気分が上がる感じも必要です。この2軸のどちらを選ぶか、と考えた時にこの企画は、「スタイル」の方を突き詰めてやろうと決めたところが出発点になりました。

木村:ユニリーバさんから設定されたのは、極めて高い中長期の目標でした。その達成のためには、いわゆる普通のマーケティングをやっているだけでは難しい。一般の人たちの紅茶の概念をシフトさせるくらいの挑戦をしようという話になりました。日本の家庭だと、夏に冷蔵庫の中に麦茶のボトルが常備されていることが多いじゃないですか。そのポジションに入るのが紅茶に変わるようなことをやっていかなければ、というのが大きな目標でした。そのためには、何となく上品なイメージを持たれがちな紅茶を、日常的にガブガブ飲んでもらうスタイルで訴求しなければなりません。

寺岡:タンブラーに入れて持ち歩いてもらうというアイデアは初期の提案から入っていました。新スタイルで紅茶を飲むことを訴求するために、実店舗をつくりたい。思い切った提案だったと思いますが、実現しました。

元島:始めは、実現は困難だと思っていたところもありました。そもそもリプトンを買う以前に、紅茶を飲むという習慣が、夏であれ冬であれ出来上がっていない状況の中で、一番ハードルの高い夏に、レギュラーチェンジを起こすというのは、相当なハードルでした。広告などを使いイメージで伝えていくだけでは起こせないレベルの、意識チェンジだったので、そのロジックをつくることが、最初のディスカッションポイントでした。

寺岡:企画の方向が何となく浮かんできてからは、麦茶をすごく調べました。なんで日本人はあんな風に麦茶を飲むのかと。すると、麦茶の良い点がたくさん出てきた。「安い」し、「つくりやすい」し、「体に良いイメージ」がついていたりする。となれば、そんな麦茶に置き換わるのは相当難しい…。でも日本の家の冷蔵庫を見ていると ...

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