消費者が多くの時間を費やすスマートフォンの利用の大半はFacebookやInstagram等のSNSアプリが占める。デジタル上で消費者にリーチするためにはSNSを活用したマーケティングは不可欠。その手法のひとつとして注目を集めているのが、SNS上で料理動画を配信する「DELISH KITCHEN」のブランドコンテンツだ。
レシピを提案することで料理に対する潜在的な課題を解決
「DELISH KITCHEN」は『明日すぐ作れる簡単レシピ』をコンセプトに毎日4~5本のレシピ動画をFacebook、Instagramを中心に配信している。フォロワー数は150万人以上、月間視聴者数は1000万人以上であり、20~35歳の女性を中心に支持されている国内最大級の動画メディアである。
編集長であり料理研究家の菅原千遥氏によると、多くのファンが「DELISH KITCHEN」を見ている理由について、多くの主婦は「レシピの考案・決定」という、毎日の意思決定に苦労しているという。まず、作るレシピを考える必要があるため、食材やテーマからレシピを検索する段階に至るまでにハードルが存在する。自身のアイデアだけでは、定番の食材の組み合わせ、かつ、定番化したレシピのローテーションになってしまう。
そうした悩みに対して、受動的に閲覧しているSNSのフィード上で「DELISH KITCHEN」が毎日新しいレシピを提案することで、ユーザーの潜在的な課題解決に繋がっていることがポイントだ。多くの家庭にある定番の食材や調味料を中心に使ったレシピを提案しているため、「作ってみよう」とユーザーに採用してもらえる工夫がされている。
さらに全ての配信動画に関して、定量的な数値分析を行っており、ユーザーに最後まで楽しんで視聴してもらえるコンテンツ作りを徹底しているという。
「DELISH KITCHEN」では一方向的なレシピ提案にとどまらず、ユーザーとの双方向的なコミュニケーションが活発なことも特徴のひとつ。日々のレシピ動画に対して、ユーザーからアレンジ方法の提案や新しいレシピのリクエストが届くようなコミュニティが形成されている。その様子からもユーザーが「DELISH KITCHEN」のコンテンツを支持し、毎日の配信を楽しみにしていることが伺える。
ブランドリフト効果を期待できる動画コンテンツとは
今、SNS上でユーザーに支持されているメディアとタイアップした、ブランドコンテンツが注目されている理由は大きく2つある。それは「テレビCMのみではリーチできない層に対して、インターネット上の動画広告でリーチを獲得できること」、そして「動画広告の中でも特に、ブランドコンテンツがブランドリフトに繋がりやすい」というものだ。
博報堂DYメディアパートナーズがリリースした資料によると、テレビCMと動画広告を併用したクロスメディア広告効果を検証したところ、テレビCM単体と比較して、同じ出稿額でのリーチ数・広告認知率ともに上昇したという。また、SNSで友人がシェアしたコンテンツや自らフォローしているメディアによる投稿に対しては通常の動画広告と比較して好意的な印象を持たれやすく、ブランドリフトに繋がるという調査結果があるという。
前述の結果からもSNSの特性に合わせたコンテンツを制作し、ユーザーに届けることで、テレビCMとはまた異なる層へのリーチ・広告認知が期待できると言えるだろう。
ユーザー視点で生まれるタイアップコンテンツ
「DELISH KITCHEN」では4月よりブランドコンテンツとしてタイアップ動画の配信を開始しており、8月時点ですでに10社以上の広告掲載事例がある。
ブルボン「スライス生チョコレート」とのタイアップでは3種類のレシピを提案している。テレビCM放映後に「DELISH KITCHEN」でレシピ動画を配信したことにより、商品認知のなかったユーザーへ新たにリーチすることができ、さらにはすでに商品を認知しているユーザーに対しては使い方の提案ができたという。ユーザーからは実際に商品を購入してレシピを再現した写真やコメントが投稿されている。
タイアップ動画であっても、ユーザーが嫌悪感を抱かずに視聴してくれる秘訣は一体どこにあるのか。それは日々のメディア運営のノウハウを生かしたブランドコンテンツ制作にある。定量・定性の両側面から、ユーザーに最後まで楽しんでもらえることを重視したレシピをクライアントと一緒に検討し、より自然なコンテンツへと落とし込むようにしている。SNSで配信するからこそ、ユーザー視点を意識したコンテンツ作りが欠かせない。
毎日ユーザーとのコミュニケーションが生まれている「DELISH KITCHEN」だからできる、消費者に寄り添ったブランドコンテンツづくり。
次号以降では実際に広告を出稿したクライアントのマーケターをゲストに招いて、その魅力について語ってもらう予定だ。
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