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自治体PRに見る、新しい広告主の影響

国を挙げた地方創生の取り組みの中で、自治体による広告・プロモーション活動が盛んになっています。企業以外にも、「広告主」が広がることは社会や経済にどのような影響を与えるのでしょうか。自治体でPRや広告を担う方たちに、日々の活動を通じての影響の実感を聞きました。

自治体だけの活動で留まるのではなく企業が上手に活用する必要がある

茨城県
広報監
取出新吾氏

自治体PRは地方創生系の交付金などのために活性化しているようにも感じられていると思いますが、実際に某県の最近の調査では、全国の広報予算合計金額の過去4年間分見ると、ほとんど増減もしていませんでした。市町村や都道府県などの自治体が身銭を切ってPRを実施している訳ではないため、交付金などがなくなってしまったら終わってしまう一時的なブームである可能性が高いのではないでしょうか。

また、自治体PRは以前からも行われており、急に活性化したわけでもなく、活用するメディアが変わってきたために目立っているだけの可能性もあります。以前では、新聞・ラジオを活用していた分の予算をネット動画などの新しいメディアに充てるようになり、一部のネット動画はテレビで何度か取り上げられたために、その印象を強くしていると感じています。

本県は近年、自治体PRを過去4~6年間継続して行っています。主要なものとしては吉本興業と共に行っているイメージアップキャンペーン(「なめんなよ♥いばらき県」、「のびしろ日本一。いばらき県。」)、インターネット動画サイト「いばキラTV」、銀座にあるアンテナショップ「茨城マルシェ」、「磯山さやかの旬刊!いばらき」のテレビ放映などです。

全国で自治体PRにやっきになっている感がありますが、単に外向けにPRして住民獲得競争をするのが本当に正しいのでしょうか。また、一方で観光誘客目的であれば、観光地の魅力をしっかり知ってもらうPRは必須ですし、農産物・加工品・伝統工芸品など街の商品やサービスを買ってもらうためにも、PR抜きでは産業も活性化しません。自治体PRを一括りに捉えず、外向けにすべきPRと、内向き(地元向け)にすべきPRの2つに分けるべきではないか考えています。

また、自治体PRの消費への影響ですが、自治体PRは地方の経済活性化も目的の1つにならなければなりませんから、当然何かしらの影響を出さねばなりません。しかし、本当の経済活性化を出すためには自治体の活動を地元の企業等が上手に活用する必要があると考えます。単に自治体がPRしてくれたから、それで良いと何も手を打たずに待つだけではなく、自発的に動いてこそ、その効果が大きくなるはずです。例えば、本県では「KENPOKU ART 2016茨城県北芸術祭」を9月17日から11月20日まで約2カ月間開催しますが、これをビジネスチャンスと地元の方が捉え、どのように活用していくのかが肝心だと考えます。

自治体の魅力を確実に伝え、選び取ってもらう広報戦略が重要

香川県
交流推進部長
安松延朗氏

現在、我が国の人口は減少局面に入り、長期的に人口減少が続くことは避けられない状況にあります。本県においても少子化に加え、大都市圏への人口流出など、人口減少が本格化していますが、人口減少社会では、生産年齢人口の減少や県内消費額の減少、地域活力の低下など、さまざまな弊害が予想されています。そのような状況下において、各自治体とも消費者に自らを売り込み、選択してもらうための取組みが活発化していると認識しています。地域間競争においては、地域の持つブランド力が極めて重要であり、イメージアップの取組みは、中長期的に継続して取り組むことが必要と考えています。本県でも「選ばれる香川」を目指し、県の豊かな資源の魅力を国内外の多くの方に広くPRするとともに、さまざまな施策を組み合わせることで、交流人口の拡大を目指しています。

2011年10月から、県出身のタレント要潤氏をうどん県副知事に任命し、県名を「香川県」から「うどん県」に改名する「うどん県。それだけじゃない香川県」プロジェクトを実施しています。全国に強いインパクトを与えることで、本県認知度の向上につながるとともに、プロジェクトと連動した民間事業者の取組みも促進されています。例えば、ある企業の支店では、名刺の住所表示を「香川県」ではなく「うどん県」と表記し、企業PRとプロジェクトを連動させています。また、製麺会社が観光客などを対象に、うどん工場の見学を積極的に受け入れることで、新たな観光資源として認知されてきています。そのほかにも首都圏における本県アンテナショップにて県産品のPRや販売を行い、そこで得た顧客ニーズを今後の事業展開に活かすマーケティングデータとして活用しています。販路拡大に向けた海外でのプロモーション活動なども自治体PRと連動させることで、より効果的かつ効率的な成果を見込むなど、企業活動の変化も実感しています。

現在、各自治体では首長自らが先頭に立ち、自治体の魅力をあらゆる広報媒体を活用してPRするなど、地域間競争は一層激しくなっています。また、SNSの普及により、瞬時に多方面に情報が拡散し評価される昨今、全国の消費者もPRを目にする機会が増え、自治体が発する情報にも敏感になると思われます。自治体は溢れる情報に埋没することなく、自らが持つ魅力を確実に消費者に伝え、選び取ってもらうための広報戦略が一層重要になってくると考えています。

消費行動まで起こしてもらうために中身の濃いPR活動が求められる

佐賀県
広報広聴課 サガプライズ!プロジェクトリーダー
金子 暖氏

自治体が面白いPR表現をすることで世の中が盛り上がることもありますが、日本各地でPRが盛んな背景には、地方を中心に「地方創生」宣言を行っていることが大きいと思います。各自治体も地域が元気になるよう「消費行動」を促すため、今まで以上にPRのテーマを拡げ、それに適した新たなPRの手段や手法を投下することで、PRが加速しています。

従来、地域を元気にする消費行動は、ご当地の物を「買う」「食べる」が割と手軽でアクションの中心でしたが、メジャーでない地域へ観光で「行く」ことや …

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