広告とコンテンツ、その両方を理解するのに最良の書。『広告0円 スマホを電話だと思う人は読まないでください。』が、全国の有力書店・オンライン書店で販売されている。本書では、マスメディアや新しく台頭してきたメディア、さらにそれらを取り巻く広告やコンテンツ、エンターテインメントの未来のあり方を詳しく解説している。
では、それらの領域で最先端を行くビジネスパーソンは、今の世の中をどうとらえているのか、未来はどうなると考えているのだろうか。著者の吉良俊彦氏がインタビュアーとなり、クリエイターのエージェント会社・コルク代表の佐渡島庸平氏、ソーシャルニュースメディア『NewsPicks』編集長の佐々木紀彦氏にそれぞれ話を聞いた。
左:コルク代表・佐渡島庸平氏 右:『広告0円』著者・吉良俊彦氏
吉良▶ 今の世の中におけるマンガというコンテンツについて、佐渡島さんのお考えを聞きたいと思っています。僕がすごく興味があるのは、マンガの仕組みは、なぜこんなに長い間変わらないのか?ということ。1959年に創刊された『少年マガジン』や『少年サンデー』の頃から、出版物の形式や編集者の仕事がデジタルの時代になっても、ずっと変わらないように見えるのはどうしてなのでしょうか。
佐渡島▶ 僕は逆に、大きく変わってきたと思っています。マンガの歴史は貸本から始まっていて、次が雑誌の時代です。過去の歴史を見ていて面白いなと思ったのが、雑誌の時代には単行本を出すことが恥ずかしいと思うような風潮があったんですよ。作家の収入が雑誌の原稿料で占められていた時には、「単行本にしないと分からないようなマンガを描いているなんて、かっこ悪い」という価値観がありました。それが途中から、単行本で収益を得ていくという考え方に変わっていきます。
だからこの50年、60年の間に出版社も3回くらいモデルチェンジをしているんです。出版ビジネスにおける「お金を得るポイント」が、10年や15年をかけて緩やかに変わっていくということを経験しているんですね。これまでは「紙の本」という領域で変化していたから、流れが緩やかで対応できていたけれど、今はそれが「デジタル」という領域での急激な変化なので、対応しづらくなってきているのだと考えています。
スマートフォンを電話だと思っている人はいないよね?
吉良▶ 佐渡島さんと、NewsPicksの佐々木さんとモータリゼーション2.0の仕事のミーティングで話していた時に、誰からともなく発した言葉が今回の本のカバーに描かれている「スマートフォンを電話だと思っている人はいないよね?」という言葉でした。佐渡島さんはこの感覚をいつ頃から、どんな感じでイメージし始めたのでしょうか。
佐渡島▶ 今の電子書籍は、単なるデジタル化です。多くの企業がデジタル化を進めていると思いますが …