即席みそ汁の市場を開拓 定番の味を守り続けた永谷園「あさげ」の50年
高度経済成長期を経た1970年代、女性の社会進出に伴い、主婦の家事負担が増えつつある中で既に登場していた即席みそ汁。手ごろで便利なものとして一部利用されていたが、手づくりのみそ汁とは程遠いもの。そこで永谷園は“家庭のみそ汁と遜色ない上質な味わい”の実現をとことん追求した。
ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略
発売から20周年を迎えた今日も、エアゾール式殺虫剤としてトップシェアを誇るアース製薬の「アースジェット」。しかし、そこに至るまでにはさまざまな困難があった。
エアゾール式殺虫剤でトップシェアを誇る「アースジェット」が、1996年の発売から20周年を迎えた。販売元のアース製薬が、同カテゴリーでトップシェアを獲るまでには試行錯誤を繰り返しながら55年もの年月がかかっている。
日本で初めて噴霧式殺虫剤が発売されたのは、1929年。「アースジェット」の原型「アース」である。「アース」は、ユーザーが薬液をタンクに移し替えて手動で吹き付ける噴霧式だったため、使用する際に手間がかかることがネックだった。この使い勝手の悪さを克服したのが、競合メーカーが1952年に発売した、薬剤を移し替える必要もなく、キャップ部分を指で押さえるだけで薬剤が噴霧できるエアゾール式殺虫剤だ。使い勝手の良さからまたたくまに人気商品となっていった。アース製薬がエアゾール式殺虫剤「アースエアゾール」を発売したのは、その1年後の1953年だった。
後発のアース製薬は、発売後なかなかシェアを伸ばすことができずにいた。何とか巻き返しをはかろうと、ワンタッチキャップを採用した「ハイアース」や、環境配慮をアピールしたノンガスタイプものなど、少しでも使い勝手が良くなるよう工夫した商品を次々と市場に投入。しかし結果はふるわなかった。
「色々と努力しましたが、当時、競合のシェアが57%だったのに対して、アースは15%止まり。いきづまりました」と、エアゾール式殺虫剤の歴史について、現在の殺虫剤担当のブランドマネージャー・渡辺優一氏は話す。「どうすれば差別化できるのか、さんざん悩んだ末に出てきたのが、通常の3倍まで噴射力を高めた"ジェット噴射"と、操作性を向上させたトリガー(引き金)タイプのキャップを採用した『アースジェット』でした」。
紆余曲折を経て誕生した「アースジェット」。発売後はテレビCMの大量投下や、ジェット噴射の拡散力と効果、トリガーノズルの使用感を実感してもらおうと、ミニサイズのサンプリングを数年間実施した。サンプリング数は100万缶に達するという。こうした努力を重ねた結果、売上はじわじわと伸びていった。そして2008年 …