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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

デザインの良し悪しはデータで客観評価

    デザイン・ディレクションのここがポイント!

  • 最初に伝えるべきは、そのデザインが、(1)どんなターゲット(お客さま)に対して、(2)どこで見せたいものなのか、の2点だけ。
  • 良いデザインとは、お客さまの心を動かしたり、実際の行動を喚起できるデザイン。良し悪しは、データで客観的に判断する。
  • データは、デザイナーにも共有するべき。自社の課題を正確に理解してもらわなければ、良いデザインは生み出せない。

伝えるべき要素は「誰に」「どこで」だけ

昨今、マーケティングに関連する技術や手法が驚くべきスピードで進化し、いろいろなツールやサービスが登場しています。ブランドのマーケティング・コミュニケーションをトータルで見る立場として感じるのは、結局のところ、最後にお客さんを動かすのはクリエイティブだということです。誰もが目先の売上につなげるためのテクニック論に傾倒しがちである中、お客さまとブランドとの接点におけるデザインをいかに効果的なものにするかということは、非常に重要なことだと思います。

デザインの専門家ではない、ディレクションする側に求められることには、さまざまな要素がありますが、「余計なことを言わない」のが、実は最も大事なことだと思います。僕らがつくり手に伝えるべきなのは、そのデザインは、(1)どんなターゲット(お客さま)に対して、(2)どこで見せたいものなのか。例えば、Facebookに出すバナーのデザインを依頼したい場合は「Facebook上で、誰が見るのか」を正しく伝えればいい。依頼先がきちんとしたプロであれば、この2点さえ明確になれば、ある程度デザイン案はつくれるものです。

「こういうふうにつくってほしい」「こういうふうに伝えたい」という、HOWの部分の指示はしないこと。そこで大事なのは、いくつかのパターンをつくってもらうことだと思います。「これぞ!」という1本だけをつくるのではなく、「例えば、こういう考え方でつくってみました」というものを複数案、出してもらう。そして、それをベースに、制作・デザイン側とディレクション側がディスカッションし、最適なデザインを突き詰めていくんです。そこで初めて、「僕らはこういうふうに思っていたんだけど、これが良いと思う理由はなんですか?」と、伝え方の部分にも言及して、両者の考えを刷り合わせます。ディスカッションのためのたたき台をつくってもらうイメージです。

複数のデザイン案を考えてもらう時点では、ブランドのトーン&マナーの話もしません。トンマナが従来と異なるデザインが検討の俎上に載ることは、まったく問題がないと考えています。「ここの色は、やっぱりブランドのイメージカラーに揃えよう」みたいなことは、最後にテクニックでどうにかなるもの。大事なのは、そのデザインを見てお客さまが良いと思うかどうか、動きたくなるかです。これはニキビケア化粧品「プロアクティブ」ならではの特徴かもしれませんが、ブランドのトンマナは、必要に応じて崩してもOKということにしているんです。例えば、「プロアクティブ」のイメージカラーは白地に薄緑の文字なのですが、以前、黒地にゴールドの文字にしてラグジュアリーな雰囲気を演出したこともありました。それは、ブランドとしてはアウトのように見えるのですが、それによってお客さまが動くなら、それも許容しようということにしているからです。

僕らが持っている既成概念に対して、少し離れたところから意見を言ってくれる人の存在が、デザイン制作の現場には欠かせません。デジタル領域は技術や手法がどんどん進化しているし、環境もどんどん変化するので、それに合わせてデザインも変えていく必要があります。でもデザインのプロでなければ、自分たちの力で新しいアイデアを次々と出すのは難しい。ですから、そこは明確に役割分担をして、デザイナーの力を借りようということです。

ディレクション側の発想になかったデザイン案が上がってきて、「僕らはこう思っていたけれど、そういうやり方も確かにあり得るね」と理解できたら、既定路線のものとA/Bテストにかけてみる。結果、デザイナー側のものが良いという結果が出るときもあれば、逆のこともあります。ディレクション側が考えつかなかったデザインが支持されることがデータをもって証明されたら、「次からはこういうものもつくってみよう」と次に生かせばいい。新しいものつくるときでも、つい過去の実績を物差しにしてしまいがちですが、それを取っ払わないと、真に既成概念にとらわれないアイデアは出ませんよね。

お客さまに求められるデザイン判断基準はデータ

図 動画クリエイティブストーリー:プロアクティブ(PA)の場合

広告・プロモーションにおける「理想のデザイン」とはどんなものか。それは、僕ら広告主にとってどうかという話ではなくて、お客さまに求められているデザインかどうかが最も重要です。ビジネス目線で言えば、結果的にお客さまの心を動かしたり、実際の行動を喚起できるデザイン。デジタル領域で言えば、CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)、CPC(クリック獲得単価)、CPA・CPO(顧客・注文獲得単価)、CPE(エンゲージメント単価)といったデータで判断します。

そして、そうしたデータは、デザイナーにもすべて共有します。そうすることで、自分がつくっているものが、どんな機能を果たしているのか、本当に効果が出ているのか、という実感が湧き、それが仕事のモチベーションにもなると思うからです。最終的に買うか買わないかは ...

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