広告のメッセージを深掘りすると見えてくる社会の問題 「歴史」というオブラートで包み、新たな視点を読者に与える
『童の神』『八本目の槍』や直木賞受賞作品『塞王の楯』などの作品で人気の歴史小説家、今村翔吾さん。2021年から書店経営も行い、2024年4月には、シェア型書店「ほんまる」もオープンした。「広告はネタの宝庫」として着想を得ることもあると言い、自らも広告を手掛けてみたいと話す今村さんに、広告のクリエイティブに期待することについて聞いた。
私の広告観
在学時代からバーチャルリアリティに興味を抱き、SFアニメ「攻殻機動隊」に登場する技術「熱光学迷彩」を実在化させた鬼才のエンジニアとしてその名を知られる、東京大学 先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏。SFと科学、人間能力の拡張した先に交錯した未来とは、どんな世界なのだろうか。世界が注目する研究の裏側や熱い想いなどを聞いた。
稲見昌彦(いなみ・まさひこ)さん
東京大学先端科学技術研究センター教授。博士(工学)。電気通信大学、慶應義塾大学等を経て現職。自在化技術、Augmented Human、エンタテインメント工学に興味を持つ。米TIME誌Coolest Invention of the Year、文部科学大臣表彰若手科学者賞などを受賞。超人スポーツ協会発起人・共同代表。
型破りな発想力をもった鬼才エンジニアが、情報世界と現実世界を融合させることで、まるでSF作家が次々と新たな構想をデザインするように、人間の能力を拡張させたインターフェース革命を引き起こす、そんな時の人が東京大学 先端科学技術研究センターに所属する教授・稲見昌彦氏だ。彼のユニークなアイデアと偉業は今、国内外のコンピューター関係者や研究者から、熱い視線を集めている。
「私が取り組んでいるのは、人とコンピューターをつなぐチャネルを研究することによって、いかに人間の能力を拡張していくかということです。何もそれは力持ちになったり、空を飛べるようにしたりすることだけではなく、視覚や聴覚、触覚、嗅覚、味覚といった“五感”をテクノロジーの力で増強させることで、社会にとっての新しい価値やサービス、あるいは人間についての深い理解を進めることができないだろうか、という考えが源になっています」。そのための道具として使うのが、教授いわく、拡張現実感(AR)、人工現実感(VR)、ウェアラブル技術、ロボット技術、テレイグジスタンス(遠隔臨場感)などで、それらを援用させながらコンピューターの情報を現実世界に重ね合わせ、未来をデザインするのだと話す。
「AR(オーグメントリアリティ)をはじめとする多くの情報技術は、現実世界に情報をプラスしていくことで成り立っていますが、情報が多すぎると人はどこに注視すればよいのかが、わからなくなります。そこで情報の足し算ではなく画像的な引き算ができないかと思った時に、ふとひらめいたのが実際に“光学迷彩”として使用した研究の成り立ちとなっています」。
稲見教授をエンジニアとして一躍有名にしたのが、この進化したテクノロジー、“光学迷彩”の技術だ。これは平たくいうと、カメラで撮影した映像をプロジェクターやLEDディスプレイなどを用いてカメレオンのように対象を透明化するというアイデアで、この光学的(視覚的)な迷彩技術の研究は、アメリカなどでより早い時期から着手してきた取り組みだという。カラクリは、「再帰性反射材(微細なガラスビーズなどによって光が入射した方向に反射する特殊素材)を使った再帰性投影技術」だという。
原理はこうだ。稲見教授が、ある日 ...