生成AI広告、TikTok規制法、X離れにブルースカイ 2025年の米国・マーケティングはどこに行く?
ここ数年の人工知能(AI)の発達により対応を迫られている米マーケティング業界。2025年はどのような年になるのだろうか。
米国広告マーケティング事情
今年3月、マイアミで行われたアメリカ広告業協会(AAAA)「4'sTransformation2016」において「若くて有望な人材をいかに広告業界に引き止めるか」という切実な議論が交わされた。60年代の広告業界を描いたテレビドラマ「Mad Men」のように、かつては華やかなイメージで若者をひきつけていたアメリカ広告業界に今、何が起こっているのか。
LinkedInのグローバル・ディレクター、ジャン・シュワルツ氏は同会議で「広告業界の人材は他業界へ流出する傾向にある」と指摘した。LI登録メンバーで2014年に転職した700万人を対象に行ったアンケートによると、広告業界は他業界に比べて10%転職率が高かったという。転職先はハイテク、経営コンサルティング、メディアなどが主であり、それには企業マーケティング部も含まれる。さらにIBM傘下の「iX」やグーグルの「The Zoo」など「クライアント・サイドのインハウス・エージェンシー」への転出も増える傾向にあるという。
同報告書によると、広告業界で働くことの一番の強みは社員が「自分の個性に合っている」と感じていること。しかし「ワーク/ライフ・バランス」「長期的な戦略構想」カテゴリーにおいて、直接人材を競合する9つの業界中広告業界は最下位であり、「補償・福利厚生」「強い職務経歴」「仕事の安定度」においては下から2番目とネガティブな印象が強かった。シュワルツ氏は「広告会社に勤務する社員は決してお金のために会社にとどまっているのではないという調査結果もある。ベストな人材をキープするために、社員が広告業界の文化を気に入っていることや働く意義を感じていることなどを積極的にアピールするべき」と助言する。
広告業界の経営陣は今、本質的な問題に頭を悩ませている。現在18~35歳の「ミレニアル世代」はCMを見たくないためにコード・カッティング(ケーブルテレビなどを解約)をしており、広告自体がクールではないと考えている。つまり、彼らが自分でも見たくない広告をいかにつくりたいと思わせるのか ...