少子高齢化が進む日本では、「ヘルスケア」は消費者ニーズが高い注目の市場だ。しかし、健康に関わる情報はネットを中心に多く出回り、企業が発信する際には、いかにして信頼性を担保できるかが大きな課題になっている。医療関連サービスのエムスリーは、この状況を打開すべく、企業と消費者の双方の目線に立った独自サービスを提供している。
セミナーに登壇をしたエムスリー マーケティングプロデューサーの津田宗利氏。ヘルスケア市場の現状や課題、「AskDoctors(アスクドクターズ)評価サービス」について、事例を基に話した。
インターネットを利用した医療関連サービスを提供するエムスリーは6月、ヘルスケア商材を扱う企業のマーケティングや宣伝担当者を対象としたセミナーを実施。商品・サービスを医師が評価する「AskDoctors(アスクドクターズ)評価サービス」の活用方法を紹介した。
このサービスは、約25万人の医師会員を有する医療従事者向け専門サイト「m3.com」を運営するエムスリーのネットワークを活かし、100名~1000名の医師が客観的に商品評価を行う。食品・飲料や日用雑貨を中心とした商品・サービスに独自のマークを付与し、企業側はそれをプロモーションに活用することが可能である。
こうしたサービス開発の背景には、健康訴求手法の行き詰まりがある。例えば食品の場合、昨年4月から施行された機能性表示食品はメディアの注目度も高く、メーカーの期待感も大きかったが、受理数は思うように伸びていない。1991年から20年以上続く特定保健用食品(トクホ)については、企業から「トクホの取得にかかる費用は1商品あたり5000万円~2億円と、コスト面で負担が大きい」といった悩みの声が聞こえる。
一方、消費者の視点から見れば、企業の情報発信に対して「良い面ばかり打ち出しているのではないか」「何が正しいのかわからない」という不信感もある。
こうした中、企業と消費者との橋渡し役を果たすのが「AskDoctors評価サービス」だ。具体的には、企業が取り扱う健康に良い商品に対し、「商品を使い続けたいか」という使用意向と、「商品を人に勧めたいか」という推奨意向の二軸で、医師による評価が行われる。最低100名の医師が評価を行い、いずれかで75%以上の肯定的な意見を得ることができれば「医師の確認済み商品」となる。企業は、「医師◯名の◯%が人に勧めたいと回答しました」というセールストークを、マークとともにプロモーションに活用できるというわけだ。医師による評価が数値化されるため、メーカーは、商品に信頼感や説得力を持たせることができ、消費者にとっては商品選びの一つの目安となる。
今後の展望として、エムスリー マーケティングプロデューサーの津田宗利氏は、「活用してくださる企業と一緒に、この評価サービスの価値を高めていきたい。採用数が増え、露出が増えることで、流通側との連携や企業との共同プロモーションなど展開が広がるのでは」と話した。
セミナーの前半にはサラヤの代島裕世氏が登壇。「ヤシノミ」シリーズを中心としたブランド戦略を話した。また、後半には日清ヨークの青木淳氏も加わり、パネルディスカッションを開催。トクホやヘルスケアの課題感から、「AskDoctors 評価サービス」を活用しての今後の展望などを話した。
「AskDoctors(アスクドクターズ)評価サービス」で認定を受けると付与されるマーク。
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