これまで約50の企業が参加をしてきた「JAPAN CMO CLUB」。企業と消費者の関係が大きく変わる時代、業種・業態の垣根を超えて、マーケターが集まり共通する課題を持ち寄り議論することで、これからのマーケティングのあり方が見えてくる。本コーナーでは、研究会の様子をレポートする。
企業視点から顧客視点へ
4月14日、12回目となる「JAPAN CMO CLUB」(セールスフォース・ドットコムの協力のもと、2014年11月に宣伝会議が立ち上げたマーケター支援の組織)の研究会が開催になった。参加企業は、アクア、オリエンタルランド、ファミリーマート、富士フイルムと、今回も業種・業態の異なる4社だ。
研究会の冒頭で、CLUBのCMOである加藤希尊氏から、CLUB発の書籍「The Customer Journey(ザ・カスタマージャーニー)」の完成報告があった。今後は、この書籍を通じて研究会参加企業以外にも、CLUBに賛同するマーケターの誕生を期待している。
書籍では、情報通信技術の発達により、いつでも、どこでも、どんなものでもインターネットに接続することができるようになる「スマート化」、商品の差異化が難しくなる「コモディティ化」と、少子高齢化を一因とする「人口減少」を多くの企業が抱える課題として指摘。それぞれ「つながり」「質」「量」の課題と表現し、個別に見るのではなく、まとめて消費者視点で見ることで解決につなげようと提案している。今回の研究会でも、この3つの課題を一つのテーマとした。
富士フイルムの松本氏は情報発信の手法として「情報過多の今、ターゲット層の知り合いを見つけ、その繋がりを通じ、いかに消費者に情報を届けるかが鍵になる」との見解を提示。ファミリーマートの叶田氏は「デジタルマーケティングだから、このサービスを、という発想ではなく、ニーズに基づいたタイムリーなアプローチが必要」と話した。また、コモディティ化への対策は「いかに自社施設を魅力的にするか」とオリエンタルランドの笠原氏。エンターテイメントなどの新しい価値の提供により体験価値や満足度を向上させ、ハード、ソフトへの継続投資が鍵となる。アクアの成田氏は自らがユーザーの立場になったとき、マーケターの役割として「ニーズに気づき、どんな発想ができるかが大事」だと話した。
最後に加藤氏は、CLUBの目的でもあるマーケターの交流を活性化し、体温が上がったマーケターたちの力で「日本全体の体温を上げていきたい」と研究会を締めた。

写真左から富士フイルム・松本孝司氏、ファミリーマート・叶田義春氏、JAPAN CMO CLUB・加藤希尊氏(セールスフォース・ドットコム)、オリエンタルランド・笠原幸一氏、アクア ハイアールアジアグループ・成田篤史氏。

「JAPAN CMO CLUB」の活動報告は、随時、宣伝会議運営のWebメディア「アドタイ」にてレポート中です。
http://www.advertimes.com/special/cmoclub/
(本組織はセールスフォース・ドットコムと宣伝会議が共同で設立したものです)