広告マーケティングの専門メディア

           

デジタル広告のリスクマネジメント

メディアに期待されるオーディエンスデータの提供、そのメリット・デメリットとは?

日本経済新聞社 戸井精一郎

マーケティング活動のデジタルシフトが進み、データドリブンマーケティングを志向する企業が増える中、より精度の高い、効率的・効果的な広告活動を展開するため、メディアが保有するオーディエンスデータが、重要な役割を果たすと期待を寄せられています。そのとき、メディアとして留意すべきこととは。またユーザーデータという資産を、顧客からの信頼を損なうことなく、いかに有効に活用していけばよいのでしょうか。

日本のパブリッシャーは、顧客データの保有・活用に対する意識が、決して高いとは言えません。しかし昨今、TwitterやFacebook、LINEといったプラットフォームが広告媒体としての優位性を高めていることを踏まえても、顧客データ活用の重要性は明らかだと思います。

日経電子版の会員350万人(有料会員48万人+無料会員310万人)に、日経BPサービスユーザー350万人を加えた約700万人―これが現在、日本経済新聞社グループが保有する顧客基盤「日経ID」です。日経電子版の創刊に合わせて構築したもので、日経BPの顧客基盤とは2014年5月に統合しました。日経電子版にアクセスした非会員ユーザーのデータも含め、属性情報・アクセス履歴・記事閲覧履歴・商品購入履歴といったすべてのデータを、自社のDMPで統合管理しています。

オーディエンスデータの価値は、その規模に求めるべきではないと考えています。もちろん、ある程度の規模はあったほうが良いでしょうが、大手ポータルサイトと比較すれば、700万件という数はそれほど大きくはありません。それよりも、メディア側が、一人ひとりの読者のことをどれだけ知っていて、どれだけエンゲージできているかが重要だと考えています。日経IDは、読者一人ひとりが「日経電子版が読みたい」と思って能動的に登録した情報。その精度の高さが、当社のオーディエンスデータの強みだと思います。全会員に占める有料会員率は約15%で、平日ほぼ毎日、日経の何らかのサービスにアクセスしている。PCでは約7割、モバイルでも過半数以上のアクセスがオーガニック。読者とのエンゲージは非常に強いと自負しています。

また、ボリューム層は30~50代のビジネスパーソン。全読者のうち、6割がミドルマネジメントクラスです。比較的、学歴が高く、可処分所得も潤沢で、企業においても決定権を持っている方が多い。こうした特徴的な顧客を抱えていることが、オーディエンスデータを活用したビジネスを展開していく上で、優位性につながっていると感じます。

日経グループには古くから …

あと73%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

デジタル広告のリスクマネジメントの記事一覧

デジタル広告のリスクマネジメントの記事一覧をみる

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する