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デジタルマーケティングのトップランナー

デジタル領域でこそ活かす 日本の「おもてなし」の作法

アンダーワークス

インターネットの登場以降、約20年にわたって企業におけるデジタル、テクノロジーの活用を支援してきたアンダーワークス。代表の田島学氏は、この数年、企業のデジタルマーケティングに求められる役割の変化を感じているという。そこで、数回にわたり、先導するトップランナー企業と対談。デジタルマーケティングの先進的な取り組みを探る。

(右)アンダーワークス 代表取締役社長 田島 学氏
(左)日本オラクル クラウド&テクノロジー事業統括 デジタル・エクスペリエンス ソリューション部 部長 渡邊紳二氏

顧客価値体験向上のためにデジタルとリアルをつなげる

田島▶ オラクルといえば、データベースのソフトウェアを思い浮かべますが、最近はデジタルマーケティング領域のソリューションを大きく拡充している印象があります。デジタルマーケティングと関わりを持ちはじめた経緯を教えてください。

渡邉▶ データベースを基盤にアプリケーションサービスや基幹システム、ERPやCRM、ハードウエアやJavaも含めワンストップでソリューションを提供しています。これらの従来型のITによる顧客企業の支援が当然、主軸ですが、最近ではクライアント企業のその先にいる顧客への体験価値を重視しています。必然的にデジタルマーケティング関連ソリューションにも力を注いでいます。マーケティングオートメーション、DMPなど、デジタルマーケティングに必要なソリューションは買収などによってラインナップも充実化されましたが、それらは当社が基盤として提供しているアプリケーションサーバーやデータベースの活性化にもつながると考えています。現在はそれら全てをクラウドで提供するというのがオラクルの戦略となっています。

田島▶ データベースの領域だとカウンターパートはIT部門だと思いますが、こうしたマーケティング関連ですとカウンターパートもIT部門に限らないのではないでしょうか。

渡邉▶ マーケティング部門がカウンターパートになっていると思います。最近では営業企画部門からも引き合いがあります。

田島▶ 顧客体験価値を重視するトレンドがカウンターパートにも反映されつつあるのですね。オラクルさんから見て、現状のデジタルマーケティング業界はどう見えているのでしょうか。

渡邉▶ 従来はデジタル、リアルと分けていたものが、O2Oのようなリアルとデジタルの連携施策に移ってきていると実感しています。

田島▶ 消費者が求めている顧客体験が、もう昔と同じではなく、「リアル」と「デジタル」を分け隔てることが少なくなってきているのでしょうね。

渡邉▶ 仰るとおりです。

田島▶ 例えばEコマースという観点で見ても、一昔前はECで購入する人はWebサイトから商品を選んでそのままECで購入するイメージでした。でも今は、購入するにもECで買おうか、店舗に行こうか迷って、やっぱりECで買う、といった感じで…。

渡邉▶ 当社が協力しているアメリカ大手コーヒーチェーンの例で言うと、割引クーポンを配布して店に呼び込み、顧客を増やす昔ながらの方法もある一方で、スマホで予約したコーヒーを取りに来られた人にドーナツを割引する、という例も実施されています。

田島▶ O2Oという考え方も変わってきていますね。店舗に誘導することだけを考えるのではなく、店舗とデジタルをどう連携させるか、オムニチャネルの考え方が浸透してきました。

渡邉▶ 米国ではかなり進んでいるようですが、日本ではまだまだ取り組みの余地があるように思えます。

田島▶ アメリカ大手コーヒーチェーンのようなBtoCだけでなく、BtoBにおける顧客の行動プロセスも以前とはずいぶん変わってきたのではないでしょうか。従来は、営業担当者が実際に何度か会いに行き、商品を比較・検討して購入する、といった流れでしたが、今はまず製品をいくつか使ってもらい、使用感が良ければ購入する、というお試しも増えてきているようですね。

渡邉▶ 米国ではそういう流れになってきています。先日、とある製造業の方とお話しした際に、「顧客体験価値を考えた欧米のWebサイトに対し、日本のBtoBサイトは未だカタログから脱していない」と言っていましたが、これはまだ、営業マンとのリアルでの打ち合わせを前提としたものから、抜け出せていないということを表しているのだと思います。

田島▶ 米国ではBtoBの半導体メーカーのような企業が、商品の解説を動画でアップしたりもしていますよね。日本でも同様のことが増えてきましたし、今後さらに浸透していくと思います。一方で、多くの日本企業は、デジタルマーケティングの領域で、どうやって取り組みを本格化させていくべきか悩んでいるというのも現実ではないでしょうか。

渡邉▶ IT部門と営業・マーケティング部門の連携は、なかなか大変な課題ですよね。そういった連携に関する課題の相談も増えてきました。

田島▶ IT部門、営業・マーケティング部門は、これまであまり関わっていませんでしたよね。

渡邉▶ そうですね、当社もそこが課題だと思っています。ITもマーケティングも、もう少し近くに歩み寄れると良いですね。

田島▶ その話になると「どちらが先に歩み寄るべきですか?」とよく質問されます。

渡邉▶ どちらも、ではないでしょうか。

田島▶ そうですね。話は変わりますが、アメリカのマーケターはITリテラシーが高いと言われます。日本は低いのでしょうか。

渡邉▶ 一概に低いとは言えませんが、日本企業の人事システムでは色々な部署を転々とすることが多く、スペシャリストが生まれにくい環境だと思います。そのため、 ...

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