大日本印刷 デジタルアーカイブビジネス開発部 久永一郎部長
先日、五反田にあるDNP大日本印刷のDNPミュージアムラボに行く機会があった。現在、同ラボでは「フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展」を開催中である。展示されていたドイツの銀行家が作らせた地球儀は、16世紀作というから、まさにNHK大河ドラマ「真田丸」の真田昌幸たちが活躍していた時代。西洋では羅針盤などの発明で欧州人が地中海の外側の海を知る。それでもまだアジアはよく知られておらず日本はまだジパングだった。その時代の地球儀は、アジアとアメリカが瀬戸内海くらい狭く、真ん中に日本が位置していた。
また、普段あまり見ることのない天球儀も不思議である。天文学はギリシャで発展した後、アラビア世界で発達した。天球儀は自分が球体の中に立った時に一面に見える星空を描いたもの。我々は球体の外側から見ているので、天球儀にはふだん空を見ているのとは逆向きに星座が描かれている。もし、天球儀の中に自分が入ってみたら、どんな感じがするのだろう?もしかしたら、中世からそんなことを夢想した少年少女は多かったのかもしれない。
バーチャルリアリティは、そんな願望を実現できる。実際にこのDNPミュージアムラボに行くとその不思議な感覚を味合うことができる。
バーチャルリアリティは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)という箱型の視聴機器を顔に装着し楽しむ。今回は、台湾HTC社製である。かなり重い。ところが、そのHMDをつけ、しばらくすると目の前に天球儀が現れ、そのままその内部に侵入、まさに球体の中心に自分が立っている。視聴機器を付けたまま顔を上下左右に動かすと、360度広がるどこまでも区切りのない光景が広がる。バーチャルとは「仮想」という意味だが、視聴機器の重さを忘れて ...