自社に対する注目・関心を自社の商品やコミュニケーション活動だけで、実現するのは難しく、社会的な注目、潮流をうまく生かすことが重要です。その中で注目されるのが世界が注目する社会イベント、2020東京オリンピック・パラリンピック。東京五輪の象徴である、エンブレムはスポンサー企業しか使えませんが、「市松模様」は誰もが使えるものです。オリンピックのムーブメントを自社に取り入れる、市松模様を活用したマーケティングアイデアを考えます。

スポンサーはどう生かす? エンブレム自体への注目
4月25日、2020年東京五輪のエンブレムが決定した。「組市松紋(くみいちまつもん)」のエンブレムを制作したのは、東京都のデザイナー、野老朝雄(ところ・あさお)氏。25日、東京都内で開かれたエンブレム委員会で最終候補4案の中から、委員21人の投票で13票を獲得、理事会の承認を経て決定した。
良くも悪くも、これまでの経緯の中で、通常は五輪の象徴として存在するエンブレムが逆に“主役”となり、エンブレム自体が社会的に注目され、多くのメディアで露出し、人々の目に触れることになった。2020年に向けて、スポンサー企業各社のコミュニケーション活動も本格化していく中で、アイデア次第では“エンブレム自体への注目”をマーケティング・コミュニケーション活動に生かすことができるのではないか。今回の東京五輪では、エンブレムの利用がスポンサーとしての自社の立ち位置をPRすることに留まらない可能性を秘めているとも言える。
また市松模様のシンプルなデザインだからこそ、そこにそれぞれのスポンサー企業、あるいは見る人の思いが込められるとも言える。各企業のコミュニケーション活動における多様なメッセージとビジュアルの組み合わせで、このエンブレムを通じて五輪に対する受け手のイメージも多様に広がるのではないだろうか。
2020年の大会開催時、私たちは驚き、そして感動の瞬間を目撃することとなる。そうしたスポーツが魅せる躍動の瞬間と合わせ、このエンブレムも私たちの記憶に長く残っていく。大会開催までだけでなく2020年以降、このエンブレムとともにどんな企業イメージが刻まれるのだろうか。
2020年までの期間限定の視座でなく、その先の未来も見据えた、コミュニケーションを考えることが、この好機を最大限に活用することにつながるのではないだろうか。

「市松模様」で東京五輪が身近に!?
さらに「組市松紋」のエンブレムに決定したことで、にわかに脚光を集め始めたのが「市松模様」である。浴衣や手ぬぐいなど、すでに一部の小売業者は「エンブレム決定で注目の市松模様!」といったキャッチフレーズを使い、販促活動を始めている。
当然、エンブレムは限られたスポンサー企業しか使えない。しかし「市松模様」という紋様は、誰もが使えるものだ。東京五輪の象徴であるエンブレム、そこに使われた紋様の「市松模様」に目を向けてみると、多様なマーケティング・コミュニケーション活動の可能性も開けてきそうだ。
中小規模の企業や個人の商店で実践できそうなことでも、市松模様弁当に市松模様クッキー、市松模様ネイルアート…などなど、ちょっと考えただけでもアイデアは膨らんでいく。さらに歴史的建造物、伝統工芸、あるいは棚田、などの自然物も含め、地域の観光資源の中にも、多くの「市松模様」を見つけることができる。
東京五輪開催期間中に …