ニベアクリームに聞いた、ブランドを再ブレイク化させる仕掛け
100年以上の歴史を持つ『ニベアクリーム』の売り上げが、ここ数年好調だ。きっかけは、2013年に端を発したネット上の口コミ。しかし、口コミは一過性のもので、ブランド側にはコントロールできない。どのようにして口コミと向き合い、売り上げを伸ばしているのか。
ロングセラー商品の活性化アイデア
クラシエホームプロダクツは、発売26年を迎えるヘアスタイリングブランド「プロスタイル」から、新タイプのフォーム剤を今年3月に新発売。先駆けて昨年12月にブランドサイトを刷新、キラーコンテンツの発信により新たな顧客層の発掘を図っている。
since 1990
(右)クラシエホームプロダクツ ヘアケアマーケティング部 課長 堀江隆之氏
(左)クラシエホームプロダクツ ヘアケアマーケティング部 係長 深沢有里氏
「プロスタイル」は、1990年に発売。92年に今のパッケージデザインの原型となった、ヘアスタイル別に描かれた顔イラスト入りフォーム剤となって登場した。この顔イラストが、どの商品が自分のスタイルに合っているか分かりやすいとユーザーに好評で、現在も同商品のアイデンティティとなっている。
90年代にはテレビCMによる宣伝の効果もあり、認知を広げ、売上も向上。その後も、時代のニーズに合わせた新ラインの発売や、改良を加えてきた。しかし、時が経つに連れ顧客層の変化が顕著になってきたと、同社ヘアケアマーケティング部課長 堀江隆之氏は言う。
「当商品に対して、愛着を持って使用していただいているコアユーザーが中高年齢化しています。発売当初20代~40代まで幅広いターゲット層だったのですが、現在は40代以上の方々にシフトしています。のみならず深刻なのはスタイリング市場自体がシュリンクしていること。フォーム剤を使用する層が明らかに減少しています。要因はいろいろあるのですが、驚いたのは、若い層ですと、『フォーム剤って何?どうやって使うの?』という方々もいるということです。フォーム剤売上トップメーカーとして、フォーム剤の価値を啓蒙して、シュリンクする市場に歯止めをかけ、活性化させることが使命だと考えています」。
同部係長 深沢有里氏は、市場縮小の要因には消費者のヘアスタイル志向が変化していることも指摘する。「最近はナチュラルなヘアスタイルが支持される傾向にあるので、フォーム剤やヘアワックスでなくヘアオイルなどをスタイリング剤代わりに使用する人が増えています。また、美容師のヘアカット技術が高くなっているので、何も手を加えずとも綺麗なヘアスタイルが維持できるというのも、市場縮小の要因の一つではないでしょうか。それらの壁を、コミュニケーションで乗り越えなければなりません」。
そうした課題を抱える中、若い女性をターゲットに見据えた商品として、今年3月に炭酸泡の新感覚フォーム剤「スパークリングクリーミィホイップ」を発売。「プロスタイル」ベーシックラインとは仕様を一新し、時短と簡便さを求める消費者ニーズに応えるため、業界初のトリガーノズルを採用。顔イラストを入れることは踏襲しながら、デザインは新しい顧客層を視野に入れ、全体の印象をよりキュートに新鮮に見えるよう工夫した。
「顔のイラストを入れるかどうかは社内でも議論になりました。新規ユーザーを獲得するのに、古いイメージの伴うイラストで良いのか、きっぱり新しくした方がよいのではと。しかし ...