消費者のニーズが高度化する中で、必ずしも1社だけの企画ではそのニーズを満足させられない環境も生まれている。それぞれに専門性、強みを持った4者が集まり、これまでにないブランドを開発し、市場を開拓したケースをもとに、これからのチームのあり方を考えます。
「Depth」ブランドに関わる4名。プロジェクト開始当初から、互いにビジョンを共有しあえていたため、それぞれの強みを発揮しつつ、一つのブランドが形づくられていった。
2016年1月、アルビオン、ナノキャリアは両社の共同開発プロジェクトとして男性向けの新ヘアケアブランド「Depth」を立ち上げ、厳選した美容室だけで先行販売を開始した。また商品開発には、ヘアサロン「Belle」も参画。商品の販路としても重要な役割を担う。同プロジェクトには企画段階から、ブランドコンサルティングを手掛けるFRACTAが参画。アルビオンのスキンケア商品の開発力、ナノキャリアの最先端の医療技術、そして日頃お客さまと接し、ヘアケアに対するインサイトを把握しているBelleと3社がそれぞれの強みを持ちよりながら、一つのブランドをつくりあげてきた。その軌跡を追う。
異業種の2社が最高峰の技術を結集
─「Depth」立ち上げのきっかけとは。
染谷▶ ナノキャリアさんとは、2013年にアルビオンの美容液「ECLAFUTUR」を開発した時から、お付き合いがありました。「ECLAFUTUR」は発売以来、累計で100万本以上を売り上げる大ヒット商品となり、両社の取り組みを、もう一歩進めたいという話に。女性用スキンケアで実績ができたので、これまで手を付けていなかった領域にチャレンジしようと、男性用しかもヘアケアというカテゴリでのブランド開発に至りました。
「ECLAFUTUR」はナノキャリアさんとの共同開発ですが、ビジネス上の見え方はあくまで原料の供給という立ち位置。そこで今回は企画からネーミング、デザイン、コンセプト、プライスといったところまで全て含めて、対等な関係で一緒に仕事ができないか、というのが企画の発端です。医薬品開発のナノキャリアさんが、最高の技術を化粧品のために開発してくれた。本当にうれしかったですね。
松山▶ 医薬品ではなく、化粧品だから軽く見るといったことは当社にはありません。当社は ...