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成果を出せる 最強チームのつくりかた

キリンの宣伝部門が取り組む「専門性」を高め組織改編

キリングループでは、2013年にキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンを傘下にした国内綜合飲料会社キリンを設立し、昨年4月には3社別々だった人事採用を一元化。マーケティング部門でも大胆な組織改編が始動している。

キリンビール マーケティング部 広告・SP担当 マネージャー 主幹 大野知法氏

時代が求めるスピーディな分業制

キリングループでは2013年1月のキリン設立より段階的に組織改編を進めてきた。組織再編と新会社キリンの設立は、厳しい市場環境が続く日本の酒類、飲料領域において、国内総合飲料事業のさらなる成長を目指し、「ブランドを基軸とした経営」を核とした戦略を推進することが目的だ。

2013年1月から始まり、同年11月には、3社別々であったWebサイトをキリンビールのサイトに統合し、すべてのブランドを集約したサイトを開設。2015年以降は「反転・攻勢から再成長にのせる」を事業方針に掲げ、ブランドメッセージである「Quality withSurprise(クオリティ ウィズ サプライズ」に基づいた、一貫したブランド育成・構築を掲げている。

キリンビールのマーケティング組織は、2015年1月に改編。今年4月1日より同部広告・SP担当トップ(主幹)に大野知法氏が就任した。広告・SP担当は、広告クリエイティブ、メディア、セールスプロモーション、デザイン、ECの5グループの専門チーム、計43名によって構成されている。改編の狙いは、「組織の専門性を高めることにあった」と大野氏。今までは、ブランドごとのチームがそれぞれに、例えば「一番搾り」チームが同ブランドのクリエイティブからメディアのプランニング、SPの店頭施策まで担当していた。それを新組織では、例えばクリエイティブグループが、「一番搾り」から「氷結」にいたる同社の全ブランドの広告のクリエイティブを管轄するように変更した。

「一つのブランドの川上から川下までを同じチーム・人が担当するやり方を、専門グループが全ブランドの専門領域を担当するというやり方に変えました。これは組織として初めての変更ではなく、これまで何度もその時代にあわせてスイッチを繰り返してきました」。

今回、専門性を高めた組織にした背景は、大きく2つある。1つ目は、今までのやり方ではブランドを熟知したマーケターが異動するとぽっかり穴が空いてしまう傾向があり、『組織知』につながっていなかったこと。2つ目は、デジタルマーケティングが加わったことで、PDCAサイクルのスピードが速まり、即応性が求められるようになっているなかで、じっくり一つのチームで川上から川下まで見るのではなく、専門性の高いチームによるスピーディな分業性が求められていることだ。「もちろんデメリットもありますが、いまの環境ではメリットの方が高いと判断して実施しました」と大野氏は言う。

組織に異分子を入れる“カマス理論”

同社では、今夏に向け全国の都道府県毎に味の違いや個性を楽しめる「47都道府県の一番搾り」を、本格的に展開していく。4月25日からはプレゼントキャンペーンを開始した。同商品含め、今後あらゆるコミュニケーションを広告・SP担当が担っていくが、「さまざまな紆余曲折を経て、やっと世に出そうという商品の最後の部分でお客さまとコミュニケーションをとるのが私たちの仕事です。最もお客さまにダイレクトに接する、やりがいのある仕事。なので、全員が大変だけど誇りを持って仕事をして欲しいです」と話す。

続けて、強い組織をつくる上でのポイントを聞いたところ ...

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