顧客第一主義への転換が大きなターニングポイント 進化し続けた50年
1974年、日本初のコラーゲンを配合した基礎化粧品として誕生し、2024年に50周年を迎えた「ドモホルンリンクル」。漢方の製薬会社であった再春館製薬所が、「人間も自然の一部」という漢方の考え方と、同社の科学技術を掛け合わせ、化粧品開発に挑戦したことからブランドの歴史が始まった。
ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略
高級チョコレートブランドとして名高い「GODIVA(ゴディバ)」が今年、90周年を迎えた。近年では手ごろに購入できる商品ラインアップを展開するなど、活用シーンを広げている。
(左)1926年 (右)2016年
ゴディバの起源は、1926年にベルギーでショコラティエをしていたピエール・ドラップスが自宅につくった工房「ショコラトリー・トラップス」。ゴディバという社名に改名したのは、1945年のことだ。1968年にベルギー王室御用達となり、ゴディバは高級チョコレートブランドとして世界にその名を知られていく。
現在、ゴディバは世界100カ国以上に約650店舗の直営店を展開している。日本上陸は1972年。2014年には全国47都道府県すべてに出店を果たした。今では日本国内の店舗数は、全世界の店舗数の40%を超える276店舗。日本市場は北米に次ぐ重要な市場となっている。
日本チョコレート・ココア協会の調べによると、近年の日本国内のチョコレート消費量は、この5年間で約4%の微増傾向。そうしたなかで、2015年度のゴディバの売上は2010年対比で倍増している。同社 マーケティングマーチャンダイジング部コミュニケーションズ マネージャーの埋田麻衣氏は「創業当時から受け継いだ伝統的なレシピを守りつつも、焼き菓子やドリンク、少量パックのカジュアルな価格帯の商品などの商品開発を行い、ラインアップを増やしたことが好結果につながっている」と話す。
一粒で数百円もする、なかなか手を出せない高級チョコレートのイメージを持つ人も少なくないゴディバだが、近年では手ごろに購入できる1000円以下のパッケージ商品も揃える。バレンタインデーやホワイトデーはもとより、自分買いや結婚式のプチギフトなどに活用されるケースも増えている。
また、ゴディバは2013年から、店頭に設置したドールにハグして愛情の数値を計測するキャンペーンや、顔認証システムを活用して表情からメッセージを作成するキャンペーンなど、SNSを活用したチャレンジングでユーモアのあるコミュニケーションを展開してきた。商品ラインアップの充実と、こうしたコミュニケーション展開が相まって、「高級だけど親しみやすいブランド」という雰囲気が市場に醸成され、幅広い層に受け入れられるようになった。
90周年に合わせ、当選者のエピソードに基づいてオリジナルチョコレートを創作しプレゼントするキャンペーンや、長い歴史の中で節目となった年につくられたチョコレートを詰め合わせた限定コレクションなどを発売している。
日本の風土に合う商品として考案されたクッキー。1926年の創業以来、地域や時代に応じて新たなジャンルを開拓してきた。
ゴディバでは、創業当時から受け継いできた伝統的なレシピを守る一方で、常に新しいデザインや味わいのチョコレートを生み出している。チョコレート以外にも、クッキーやマカロンなどの焼き菓子や、チョコレートドリンク、アイスクリームなど、新たなジャンルを開拓してきた。
焼き菓子、チョコレートドリンク、アイスクリームは、ゴディバジャパンのシェフ・ショコラティエのヤニック・シュヴォロー氏が開発した。「アイスクリームやクッキーは、日本の夏が蒸し暑いために、チョコレートの需要がどうしても落ちることから、日本の風土に合う商品として考案されました。近年では、各地域の嗜好性に合わせて味やサイズを調整して販売し、他国でも人気商品となっています」とマーケティングマーチャンダイジング部コミュニケーション担当の五十嵐理沙氏は言う。
ゴディバは、地域や時代性に応じて各市場の特性を捉え、これまでに培ってきた技術力を生かし、市場の需要に合う商品を供給してきた。それにより ...