インターネットの登場以降、約20年にわたって企業におけるデジタル、テクノロジーの活用を支援してきたアンダーワークス。代表の田島学氏は、この数年、企業のデジタルマーケティングに求められる役割の変化を感じているという。そこで、今月から数回にわたり、先導するトップランナー企業と対談。デジタルマーケティングの先進的な取り組みを探る。
(左)アンダーワークス 代表取締役社長 田島 学氏
早稲田大学政治経済学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を経て、アンダーワークスを創業。
(右)東急ハンズ オムニチャネル推進部 オムニチャネルコマース課 主任 緒方 恵氏
東急ハンズのオムニチャネル推進のため、新規デジタル施策開発・ネットストア運営・会員データ管理・SNS運営を担当。
テクノロジーが進化するほど“自分ゴト化”のコミュニケーションが重要に
田島▶ 東急ハンズさんのデジタルマーケティングの取り組みについて教えてください。
緒方▶ ECサイト、コーポレートサイト、SNSなど当社のデジタル施策は店舗支援がメインです。店舗に来店いただき、快適な購買体験をしていただくために利便性の高いサービスを運用しています。Webと店舗では購買行動がまったく違います。例えば、店舗だとできるだけフロア内を回遊していただく間にさまざまな商品が目端に入るようにした方が買物かごに入る点数が多い傾向にあります。一方ECサイトは、購買目的の商品にたどり着くまでがスムーズでないと離脱されてしまう。おすすめ情報はノイズと映り、多いほど快適から遠くなる。店舗とWebそれぞれのよい部分を補完しあうことで、東急ハンズ全体の買い物体験がバージョンアップすることを目指しています。また、東急ハンズに訪れる人の目的は商品購入だけではなく、修理を頼みに来た人、店員にアドバイスをもらいたい人など多様です。なので商品購入の“モノ軸”とサービスの“コト軸”の両方を重ねた楽しみ方をデジタル施策で提供しています。顧客接点は、基本は店舗になりますが、Webと店舗を意識せずにどちらも使い分けられるようにすることが重要と捉えています。
田島▶ 提供価値についてはいかがですか?
緒方▶ 「ヒントマーケット」というコンセプトを掲げています。商品自体はオンラインショップでも買えるので、店舗でやるべきは、類似商品がその場で比較検討できるところや …