2014年11月の発足以来、10回以上の研究会を実施してきた「JAPAN CMO CLUB」の活動の成果が、1冊の書籍『The Customer Journey―「選ばれるブランド」になるマーケティングの新技法を大解説』としてまとまり、刊行される。これまで約50社のトップマーケターが参加をしたディスカッションから見えてきた、これから目指すべきマーケティングの方向性とは?書籍の筆著者であるJAPAN CMO CLUBの加藤希尊氏が解説する。
The Customer Journey
「選ばれるブランド」になるマーケティングの新技法を大解説
著者/加藤希尊氏
刊行日/4月15日刊行予定
価格/1600円(税別)
発行元/宣伝会議
マーケターが集まり、議論横のつながりをつくる
「日本のマーケターの集合知をつくる」というスローガンを掲げ、立ち上げた「JAPAN CMO CLUB」は、これまで約50社からトップマーケターが参加をするまでに広がってきました。私は以前から日本のマーケターは、欧米と違い他社のマーケターと知り合う機会が少ないことに、マーケティングに従事する一人として問題意識を抱いてきました。そんな思いが、CLUB立ち上げのきっかけになっています。
約1カ月に1回の研究会や半年に1回のネットワーキングの場でのCLUB参加者の皆さんの盛り上がりを見るたび、「JAPAN CMO CLUB」の意義を強く感じています。異なる業種であっても、他の企業のマーケターの方とのディスカッションは、皆さんの仕事に大きな刺激になったとの感想をいただき、今後も継続していきたいと考えています。
現在も定期的に研究会を開催していますが、約1年の活動を通じて見えてきたマーケティング課題と、その課題の解決に向けた道筋を体系化したのが『The Customer Journey』です。CLUBには多様な業種の企業が参加をしています。そのディスカッションの中で、共通する課題として見えてきたことがあります。それは「スマート化」、「コモディティ化」、「人口減少」という3つの変化が競争のルールを大きく変えてしまったという現実です。
「スマート化」は、スマートフォンの浸透で世界がいつ、どこからでもつながる「コネクティッドワールド」へと変貌を遂げたことが起因となり、生まれる現象です。誰にとっても1日は24時間しかありません。その環境で、顧客につながりたいと思ってもらえるブランドになるためには、無数の接点において「価値ある体験」を提供することが求められています。限られた時間、限られた接点を企業間で奪い合う競争が起きているのです。
さらに市場の成熟化に伴うコモディティ化は製品の「質を高める競争」を、人口減少は顧客シェアを奪い合う「量の競争」を激化させ、マーケターの仕事をますます困難なものにしています。
マーケターこそ顧客接点の総指揮者に
一つひとつの問題に対応するだけでも難解ですが、それが3つ同時に押し寄せているとなると、どう対応してよいものか、途方に暮れてしまいそうです。しかし3つの変化を「つながり」、「質」、「量」の価値変化であるとシンプルに捉え直してみると、見え方も変わってきます。そして個別バラバラにではなく、すべてをまとめて戦略を組み立てることで、新しい競争のルールも見えてきます。著書では、「つながり(スマート化)」の技術を使い、「質」を高めた商品を最適な「量」提供するという、戦略のバランスをとることで、魅力的なブランド体験をつくる提案をしています。
つながりの技術を活用し、魅力的なブランド体験をつくる上では ...