大手コンサルティング会社を中心に取材をしてきた中で、「米国で起きている買収の話が正確に日本では伝わっていない。“エージェンシー化”をしているわけではない」という声が多くあがってきた。欧米で起きる買収の動き、日本への影響とは。
総合広告会社から転身した、PwCコンサルティングの関良樹氏。
「広告会社が考えるマーケティングよりカバーする領域の広い仕事に興味を持った。2009、2013年にカンヌ・ライオンズの審査員を務めた時、一緒になった他国のクリエイターにもコンサルティング会社に移籍した人が複数名いる。こうした人材流動は、今後も起きてくるのではないか」。
事業会社のマーケターからアビームコンサルティングに移籍した本間充氏。
「日本の企業がこれからデジタルシフトを実現しようとする状況で、多様なマーケティングを支援できる仕事に関心を持った」と話す。
昨今、バズワードとも揶揄される企業の「デジタル・トランスフォーメーション」。デジタル化の進展が企業を大きく上回る速さで、消費者の間で進んでしまったことで、その変化に追いつくための企業変革が求められていることから、注目される概念だと言えるだろう。
このように企業にとってのデジタル化の課題が、消費者に起因していることから顧客接点を見てきたマーケティングの革新が経営課題としてクローズアップされるように。経営課題解決のコンサルテーションをしてきたコンサルティング会社が、これまでの延長で、マーケティング部分での支援に取り組むケースも増えている。
こうした動きと時を同じくし、欧米でコンサルティング会社のクリエイティブエージェンシー買収の動きが起き、日本でも話題にされてきた。マーケティング支援強化の動きと相まって、「コンサルティング会社がエージェンシー化」していくのではないかという憶測も飛び交うが、国内では大手各社ともに「(デジタルマーケティングの企画立案も行う会社では、その領域で競合する場面は発生するが)、むしろ協業するケースの方が圧倒的に多い」との見解が多かった。
また各社ともに「すでに付き合いのあるクライアント企業から…