地方創生でPR合戦も活況に 背景にある狙いと組織改革、そして課題とは?
国を挙げた取り組みが進んでいる地方創生。観光誘客、移住促進、企業誘致と、アプローチの仕方は各自治体によって異なるが、いずれの場合もカギとなるのが、各地の魅力を効果的に発信する広報・PR活動。その取り組みに各自治体が本腰を入れ始めている。いま日本を席巻している、空前の“PRアイデア合戦”の背景に迫る。
過熱する、自治体プロモーション
ゆるキャラ、自虐、面白動画……広報・PRに限ったことではないが、自治体の取り組みは概して“ 横並び”になってしまいがちだ。クリエイティブのコモディティ化を脱し、各地域の特徴・魅力を効果的に伝えるための表現は、どうすれば生み出せるのか。
今、自治体動画が面白い。広告業界のCMプランナーがバキバキ活躍している。確かにそればすばらしい。小林市などたまらない。しかしながら、私も自治体の仕事をしているが、そのムーブメントからは少し距離を置いている。なぜかというと、面白いものをつくったとしても、他のものに埋没してしまうからである(他よりも面白いものをつくれないのではないかという不安も往々にしてあるのだが)。この動画をはじめ、ゆるキャラ、B級グルメなど、自治体の施策はどうして横並びするのか。それは、次の3点の理由が考えられる。
(1)成功事例を真似るほうが説明を他者にしやすく予算を獲得しやすいこと(市や県議会に予算を通したり、国の補助金・交付金申請をしやすい)。
(2)視察カルチャーの存在。自治体、町おこしに携わる人は視察が大好き。視察に行って、それをそのまま取り入れる。
(3)自治体の世界には、アイデアを“パクる”ことにためらいがないこと。
他のところがこれをやっているのだから、俺たちは違うことをしようという発想の人はあまりいない。正直、私が発案した「商店街ポスター展」(シャッター商店街活性化を目的とした施策。大阪の新世界市場に始まり …