2015年1月の本格リリースからわずか1年で、導入サイト数7万3000サイトの実績を獲得したWebサイト解析・改善をオールインワンで実現するASP「SiTest®(サイテスト)」。同ツールがマーケターにもたらす可能性と、開発までの道のりをグラッドキューブ 代表取締役 CEOの金島弘樹氏に聞いた。

グラッドキューブ 代表取締役 CEO 金島 弘樹氏
ヒートマップでサイト改善
グラッドキューブは、インターネット広告市場の成長期まっただ中の2007年に設立された。代表取締役 CEOの金島弘樹氏はグラッドキューブ設立当初、オンラインショップを立ち上げ、サイトの売上げを高めるためにWebサイト改善・広告配信を独自で工夫していた。手探りでテストを繰り返すうちにノウハウが溜まり、リスティング広告を中心としたコンサルティングサービスへとビジネス内容が変化。現在ではインターネット全領域のプロモーションを支援する事業へと移行した。
インターネット広告会社として数多くの広告を担うなかで、広告費をかけて広告を出稿してもモノが売れない、費用対効果が合わない、そもそもアクセスが集まらないなど、さまざまな問題を相談されるようになるが、その問題解消には誘導先のサイト改善が不可欠であることに行き着く。「サイト改善にかける予算、ITリテラシーの有無にかかわらず、Webサイトの改善や解析・レポートが安価で簡単にできるようしたい」。その想いから2012年の秋頃よりサイト解析ツールの自社開発を始め、2015年に本格ローンチとなったのが「SiTest(サイテスト)」だ。
「Webサイトをテストする」で「サイテスト」。マウスカーソルなどの動作データを熱で可視化して、ユーザーの閲覧、注目ポイントが視覚的に分かるマウスグラフィの他、キャンペーンなどの昨対比が簡単に閲覧できる「期間比較*」、CVしたユーザーと非CVユーザーなどを比較できる「セグメント比較*」を実現した8種類のヒートマップを搭載している。スマホやタブレットで動作するスクロール、タップ、フリックなどの操作についても対応可能で、ヒートマップ機能については、Web解析ツールのなかで最も種類が豊富だ。
さらに人工知能を搭載したABテスト機能、ショッピングカート内の分析ができるEFO(エントリーフォーム改善)も搭載し、これまでサイト解析とABテストでばらばらに分かれていた解析のフローをSiTestひとつで実施することが可能になった。
「Web担当者は現在、複数のツールから上がってくるデータを見ながら、改善の意思決定を行っている。サイト解析にはGoogle Analyticsやヒートマップツールを、ABテストを実施するにはまた別のツールと、業務が複雑化し手間も時間もかけている。マーケターの負担を軽減するべく、僕はそれを一つのプラットフォームにしました」。
*特許出願中
サイト運用で時間を浪費しない

アニメーション機能を使ったABテストによる改善例
ユーザーが離脱しているポイントをスクロールデータ機能で特定。その離脱部分にJavaScriptによるアニメーションを入れてABテストを行うことでスクロール率が改善、結果的にコンバージョン数をアップさせた。
広告主にとって重要なのは、ツール導入により売上げが上がるのか、成果がでるのかという点だ。改善が必要な箇所がわかってもツールだけで売上げを高めるのは難しい。そこで金島氏が目を付けたのが、“業務効率を上げてコストを下げる”こと。
特にSiTestの強みとなるのは「自動的にサイトが改善される」機能。ユーザーの求めることを統計学的に人工知能が分析をして、どの修正パターンが最も改善見込みがあるのか修正提案、改善レポートを行ってくれる。これにより余計な業務フローが減るため、より早くサイトの改善ができるようになり、売上や成果につながる。
自社でECサイトを運営する某大手消費財メーカーでは、スマホでのショッピングカート離脱率が高いことが悩みとなっていた。そこでSiTestを導入し、ヒートマップ分析でユーザーのページ上の動きを可視化したところ今までの解析手法では気付かなかった根本的なボトルネックを発見。そこを改善したところ離脱率を半分以下まで下げることに成功した。さらにABテスト機能により、コンバージョンの最適化も行うことで結果的にCVRを2倍以上に引き上げたという。「そこまで成果をあげられたのは機能の利便性はさることながら、運用でなく改善にかける時間を増やせたことが要因だったと言っていただきました。また、クライアントの方々に話を聞くと、人工知能活用の可能性に期待をされているのを感じます。今、追加機能として開発を進めているのが、人工知能を活用した『アドバイス機能』と『レポーティング機能』。これまでコンサルティング料として数十万円かかっていたところを、ツールの費用数万円だけで補えるようにしたいと思っています。レポーティング機能は5時間かけていた解析レポートを僅か1分に短縮することが実現できるため、多くのお客さまから早く実現してほしいとのお声をいただいています」。
多忙なマーケターを支援
マーケターは忙しい。顧客提案や折衝、広告配信、分析、改善、レポート作成などその仕事量も膨大だ。だからこそ金島氏は、「マーケターには企画や最後の決断をしてもらえばいいと思っています」と話す。「その決断をするための情報を適切に提供してくれるツールがあれば、やるべきこと、お客さまに提案したいことが明確になるはず。人工知能ができることではなく、人だからこそできるクリエイティブな作業に集中していただき、『お客さまを喜ばせる』ことにフォーカスしてほしいと考えています」。
最後に今後の展開について聞いたところ、「まずはSiTestの導入数100万サイトを目指していきたい。現在の導入数は、約7万3000サイトと世界で2番目ですが、僕たちはローンチから1年でこれを実現しているので、不可能ではないと考えています。バージョンアップも随時行っていき、さらにSiTestを作業効率の向上に貢献できるツールにしていきたい」と力強く語ってくれた。SiTest以外のサービスもすでに準備段階にあるとのことで、同社の今後の動向にも注目していきたい。
お問い合わせ
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