アイ・エム・ジェイ(IMJ)は2016年7月、設立20年の節目を迎える。2015年の1月より竹内真二氏がトップに就任し、経営変革を行ってきた同社。デジタルがマーケティング、さらに経営の重要な役割を担う時代。高度化する企業のデジタル課題に応えるべく、組織の変革を行ってきた。その変革を担う、同社・取締役COOの加藤圭介氏に話を聞く。
青葉台にあるIMJオフィスにて。これまでWebインテグレーションの部門は2拠点に分かれていたが、今年4月から順次、統合予定。物理的にもチームを統合し、全社体制を構築する。
課題の発見からともに考えたい
インターネットが登場して約20年。1996年にWebサイトの制作・運用(Webインテグレーション)を担う会社として創業したIMJの事業も、この20年のデジタル活用の変遷に伴い、大きく変化を遂げました。
特にここ4、5年は、あらゆる業界でマーケティング、さらには経営戦略においてデジタルを重視する傾向が顕著となり、当社に求められる役割も変わったと痛感しています。これまで一部門にとどまっていたデジタルが、全社を挙げて取り組む企業課題となり、統合的なデジタルマーケティングを志向する企業が増えています。それに伴い、当社に相談いただく課題の難易度が劇的に高まりました。
統合的なデジタルマーケティングの実践を支援できる体制を整えるべく、IMJでは20年の歴史の中でも、最も大きな組織変革を敢行。当社は創業期からのWebインテグレーション事業に加え、2006年から開始したデータ活用支援事業の2つの軸で事業を展開。Webインテグレーション事業は、2つの拠点に分かれ、合計3つの部門が存在していました。これまで、3部門は別々に動いてきましたが、先述の企業課題の高度化に加えて、企業側のデジタル関連部門の統合・連携の流れの中で、当社が持つソリューションを統合して提供するための組織改革を行ったのです。
具体的には2015年4月に「アカウント統括本部」を新設。一部を除き、3部門の営業活動とプロデュース業務の統合を進め、顧客接点の一元化を行いました。これにより、IMJオールアセットでの価値提供ができる体制が整いました。さらに今年4月には、Webインテグレーション事業の2部門の統合に加え、社内に散在していたデータアナリティクス&コンサルティング事業の統合も実施します。
IMJでは2015年の1月に竹内真二がトップに就任し、経営体制を刷新。そのタイミングで、戦略テーマとして「融合と成長」を掲げました。それから約1年かけ、お客さまに対する提供価値をさらに高めるべく、当社社内の分散化していた機能を統合。体制を整えてきました。20周年を迎える今年、その体制で、新たな価値を提供できる環境ができあがったと言えます。
アカウント統括本部は、新規案件の獲得を主なミッションとするアカウントエグゼクティブ部、新規の提案もしつつ、既存のお客さまと相対するアカウントマネジメント部。さらにこれら前線に立つ部門を支えるマーケティングプランニング部、IMJとしてのマーケティング機能を担うマーケティング&セールス部で構成されます。
アカウントエグゼクティブ部を立ち上げた理由は、単に営業力を高めたいという当社内の事情ではありません。以前であれば、当社への相談は「Webサイトをリニューアルしたい」など目的が明確で、RFP(提案依頼書)を提示されての仕事が多かった。ところがデジタルの重要度が高まり、解決すべき課題も複雑になるにつれ、「デジタルをもっと活用したいが、どう進めれば良いかわからない」、「既存のマーケティング戦略にデジタルをどう組み込んでいけば良いかわからない」など、漠然とした悩みを抱える企業が増えています。課題の発見・特定からの支援が求められている環境を受けての営業体制の変革です。
約700名の社員規模で複雑化する課題に対応
企業と消費者の接点にデジタルが浸透し、いかにしてデジタルシフトを実現するかが重要な経営課題になりつつある今、デジタルマーケティング支援業界は、異種格闘技戦の様相を見せ始めています。
当社のような従来からのマーケティングサービスプロバイダやネット広告代理店に加え、総合広告代理店がデジタル領域を強化していたり、コンサルティングファームやSIer、ソフトウェア会社も、この市場に参画しています。
多種多様なプレーヤーがデジタルマーケティング領域に参戦する中で、IMJだからこそ提供できる価値は何か。私たちは、改めて自分たちの強みを整理しました。その強みは3つあります。
ひとつが、国内最大規模のWebサイト制作・運用体制です。コンテンツ制作・ユーザーインターフェイス設計やソーシャルメディア運用も担う中で、磨いてきたクリエイティブ力はIMJの強みです。
そしてデジタルマーケティング領域に特化したデータアナリスト、マーケティング・コンサルタントが、約50名規模で在籍していることも強みのひとつです。顧客中心のOne to Oneマーケティングを実現していくためには、データ分析とその分析に基づいたマーケティングシナリオの設計が必要であり、欠かせない機能です。
3つ目がデジタルテクノロジーに対する理解と活用力。Adobe、Salesforceからはトップレベルのパートナーとしての認定を受け、その他GoogleやQlikなどのソリューション導入支援・運用の実績を重ねてきました。クリエイティブ、コンサルティング、テクノロジーというデジタルマーケティングを統合的に実践するうえで、欠かすことのできない3つの機能全てをひとつの企業で保有している企業は少なく、IMJならではの強みだと自負しています。
必要とされる機能を網羅しているだけでなく、その機能をグループ全体で約700名という規模で、提供できることも強み。最近、特に大手企業で各部門からバラバラと複数のパートナーに発注するのではなく、デジタルマーケティングを統括的に推進できるパートナーへの集約発注という動きが見られますが、その点、当社の規模は強みのひとつとなっています。
日進月歩で進化するデジタル領域では、一人ひとりの社員が日夜、自分の専門性を磨き上げていくことは欠かせません。一方で今後、お客さまのビジネス目的を理解し、これらの専門家を適切に活用できるゼネラリストの育成にも力を入れていきます。
さらにPCやスマートフォンなどのデジタルデバイスだけでなく、店舗やコンタクトセンターにもデジタル技術を取り入れて、顧客体験の向上を図りたいと考える企業が増えています。
IoTやオムニチャネルは、私たちもこれから注力していきたいテーマ。加えて、日本企業の海外進出が本格化する中、当社にもパートナーとしてグローバル展開を期待される局面が増えてくると思います。オフラインも含めたデジタルの活用支援、さらにグローバルでの支援と20年を機に、さらに新しい価値を提供すべく、IMJも進化を続けていきます。
問い合せ先
株式会社アイ・エム・ジェイ アカウント統括本部
TEL.03-6415-4268