顧客第一主義への転換が大きなターニングポイント 進化し続けた50年
1974年、日本初のコラーゲンを配合した基礎化粧品として誕生し、2024年に50周年を迎えた「ドモホルンリンクル」。漢方の製薬会社であった再春館製薬所が、「人間も自然の一部」という漢方の考え方と、同社の科学技術を掛け合わせ、化粧品開発に挑戦したことからブランドの歴史が始まった。
ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略
CHELSEA(チェルシー)が今年、45周年を迎えた。「今までにない特長とおいしさ」をコンセプトに掲げ、キャンデー市場を牽引してきたチェルシー。ブランドの若返りを目指す戦略について聞いた。
(左)1971 (右)2016
1971年の発売当時、チェルシーは何もかもが斬新だった。キャンデーやあめは袋入りが主流だった時代に、チェルシーは黒をベースにカラフルな花のモチーフが浮かぶ箱型のパッケージだった。内箱を引き出すと小花模様の包装紙に包まれたキャンデーが行儀よく並ぶ。ツヤツヤのキャンデーはなめらかで、濃厚なバターの味と香りが口中に広がった。外国人の少女が片言の日本語で「アナタニモ、チェルシー、アゲタイ」とささやくテレビCMは、子どもたちのモノマネの対象となり、瞬く間に人気商品となった。
チェルシーのコンセプトは「今までにない特長とおいしさ」。スコットランドのスカッチキャンデーにヒントを得て、高温で練った材料を型に流し込む「流し込み製法」を日本で初めて採用し、なめらかさと濃厚でコクのある味わいを実現した。チェルシーは今で言う「濃厚系キャンデー」の先駆けだった。「味」「パッケージ」「CM」の3本柱で市場に浸透していったチェルシーの売上のピークは1980年代。発売当時の子どもたちが大人になり、ファミリーで食べられていた。明治の調べでは、現在のチェルシーの認知率は90%以上と高い。だが、キャンデーのメインユーザーが30~40代女性であるのに対し、チェルシーのコアユーザーは50代女性。ロングセラーの宿命とも言える若年層への訴求が課題となっている。菓子マーケティング部専任課長の吉田彰氏は次のように話す。「現在、市場にある“濃厚系”の中でも、すっきりとした後味が好まれる傾向にあります。チェルシーのコアユーザーは濃厚さと甘さを支持しているため、すっきりさせると拒否反応が出るのです」。そこで若年層へのアプローチ施策として、季節や流行に合わせて新味を出してきたが、手応えはいまひとつだったという。
転機となったのは、2015年に発売した「プレミアムチェルシー」だ。チェルシーブランドをこれまで以上に強化するため、30~40代女性に買い続けてもらえるようにと開発された。濃厚でも甘すぎない味わいで、若い世代への売れ行きは上々だ。「実はプレミアムのおかげで従来のチェルシーも活性化しています。もともと認知率が高いブランドなので、新しいタッチポイントに刺激を受けると、久々に食べてみようかなと思ってもらえるようです」(吉田氏)。
今後は従来のチェルシーとプレミアムチェルシーの2路線で、幅広い層に愛されるブランドを目指していく。
親しみやすいメロディーで愛されてきたチェルシーの唄は、時代とともに受け継がれてきた。
チェルシーのコミュニケーションはテレビCMを中心に展開してきた。英国を想起させる風景に外国人の子どもが登場するスタイルで、異国情緒を感じさせた。
その基軸となっているのが ...