オウンドメディアの秀逸事例
ここでは、メディアを運営し企画の考案も行っている藁品氏、岡田氏の両名が参考にしているという5つのメディアを紹介します。
僕はPRプランナーとして、さまざまな会社のコンテンツを、世の中の話題にするお手伝いをしていますが、その時、一番困るのが、「PR的クリエイティビティ」要素がほとんどなく、しかも、それを入れることがままならないコンテンツを話題にしてくれ、というオーダーを受けた時です。この情報氾濫時代において、「PR的クリエイティビティ」のない情報を、小手先の技術で話題にすることなど、できるはずもないからです。「PR的クリエイティビティ」は世の中に話題を提示し、情報を伝播させるために必須の要素で、PRプランナーの唯一にして最強の武器とも言えるでしょう。これがなければPRプランナーは戦えませんし、PRは成功しません。そんな「PR的クリエイティビティ」のポイントは2つ。「コンテンツの中身」と「話題化のための仕掛け」。これこそが、「PR的クリエイティビティ」の2大要素であり、世の中で話題をつくり出すために最も気を使うべきポイントだと僕は考えています。
ところで皆さんは、昨年の夏頃に話題になった、「ンダモシタン小林」を覚えていらっしゃるでしょうか? 小林市を旅するシャレたメガネをかけた、スラリとしたフランス人男性、きれいな水や星空、穏やかでのんびりした町の様子を見物し、そこで抱いた感想や疑問を語りながら町を歩く、という移住促進動画でしたが、最後に大どんでん返しが待っています(ご覧になっていない方のために、ネタバレは控えます)。
この「どんでん返し」が「PR的クリエイティビティ」における「中身」の部分です。これをさらにひもとくと、「PRIMPAKT®」「感情トリガー」という二つのメソッドが浮かび上がります。
PRの目的は、メディアに取り上げられることではありません。が、「認知の獲得(Awareness)」「意識の変化(Perception Change)」「行動の変化(Behavior Change)」という真の目的を考えたとき、コンテンツにメディアが取り上げたくなる、あるいは生活者がシェアしたくなる要素を盛り込むことは、とても重要です。
電通グループで開発したメソッド「PR IMPAKT®」図1は、メディアが取り上げたくなる6つの視点を整理したものですが、例えばこのうち、Inverse(逆説、対立構造)という視点の例としては、「炭酸飲料なのに大人向け」「スポーツの時に食べる羊羹」「若い人向けのステテコ」…などがあります。このPRのコンテキストプランニングを実際にする時のコツは「5W1Hをズラしてみる」ことです。Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)の1点をズラしてみる。大人向け炭酸であればWho、スポーツ羊羹ならばWhen、といった具合です。前述の小林市でも、「外国語だと思ったのに方言だった」(すみません結局ネタバレしちゃいました…)という形で …