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デジタル時代の新ブランド戦略

デジタル時代に、企業イメージを毀損するものとは何か?

電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 シニア・コンサルタント 細川一成

生活者と企業との接点が多様化・複雑化する中、企業イメージとは何によって形成、あるいは“毀損”されるのか。毀損を防ぐために企業が日々とるべきアクション、持つべき姿勢とは、どのようなものだろうか。電通パブリックリレーションズの細川一成氏が解説する。

日本でのインターネット利用者の数が1億人を超え、10~60代におけるソーシャルメディア利用者の割合が半数を超えたのは2014年のことだ。この背景には、スマートフォンの十分な普及があると考えられ、事実、同じ年にスマートフォンの台数が、従来型の携帯電話いわゆるフィーチャーフォンの台数を上回ったとも報じられている (図表1)

図表1 10~60代のスマートフォンおよびソーシャルメディアの利用

こうした中、企業イメージの形づくられ方も変化を見せつつある。企業のイメージは、従来、新聞・テレビなどのマスメディアによる報道に左右されることが多く、それゆえ、企業のイメージづくりにはマス広告や、マスメディアで報じられる記事や番組情報でのパブリシティが多く活用されてきた。

しかし、いまや多くの人々の情報収集における第1プライオリティメディアは、365日24時間、30センチ以内にあるスマートフォンであり、スマートフォンの液晶画面上にめくるめく表示されるソーシャルメディアコンテンツであり、ニュースの見出しリンクであり、動画なのだ。この時代に、企業イメージはどのように形づくられ、また毀損されるのだろうか。

企業イメージはどこにあるか?

そもそも、「企業イメージ」は、どこにあるのだろうか。「イメージ」という言葉を辞書でひくと、「心に思い浮かべる像や情景。ある物事についていだく全体的な感じ。心象。形象。印象」とある。つまり、企業イメージとは、ある企業に関して、心に思い浮かべる心象ということになる。この点は、現代の企業イメージを考える上で、決して見逃せないポイントだ。企業イメージとは、企業のロゴマークやスローガン、それらが掲載された広告ポスターやパブリシティ記事で表現されているわけではなく、心の中にあるのである。

次に問題になるのは、その「心」が誰の心かという点だ。一般的に考えて、これは生活者ということになろうが、実はそれだけではない。企業は生活者だけでなく、就職前の大学生、投資家、取引先、関係行政団体、企業の所在地に居住する住民、そして自社の従業員や役員とも接点を持っていることを考えると、これらの、いわゆるステークホルダーを中心とするパブリックの心の中に企業イメージがあるのだと考えざるを得ない。

企業のロゴマークやスローガン、それらが表現された広告やパブリシティ記事は、ステークホルダーの心の中に企業イメージが形成される際のサポートになりこそすれ、それそのものが企業イメージではないということだ。これらは当然のことではあるが、企業イメージづくりのセオリーが大きく変わりつつある今、再認識すべき事柄ではないかと考える。

企業イメージをつくるのは理解と共感

企業イメージがパブリックそれぞれの心の中にある以上、企業イメージ形成は、「理解」と「共感」によって行われる。企業のイメージ戦略担当者の仕事は、多様なステークホルダーに企業を理解してもらい、共感してもらうことなのだ。決して企業ロゴ制作やスローガン制作だけではない。それらは、主従で言えば「従」であることを理解すべきだ。ステークホルダーの心に働きかけ、企業への理解と共感を生むことが「主」である。

このうち、共感については、このところ盛んに議論されているところであろう。日本において10~60代の半数が利用するソーシャルメディアは ...

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