グローバル企業では、デジタル時代の消費者のライフスタイルやメディア接触行動に合わせた取り組みをいち早く推進している。コスメティクス、ジュエリー、ファッションの3業界の、デジタル先進企業の取り組みに迫る。
モバイルからの売上が前年比で3倍に躍進
トレンチコートやチェック柄のカシミヤスカーフで知られる、英国発の世界的ラグジュアリーブランド、バーバリー。1856年創業の歴史ある企業でありながら、2009年と早いタイミングにTwitter・FacebookなどのSNSの運用を開始したこと、2010年春夏コレクションで他社に先駆けてファッションショーのライブ配信を実施したことなど、デジタル時代に対応した先進的な取り組みが、業界内外から注目を集めてきた。
こうした取り組みの背景について、チーフ・マーケティング・オフィサーのサラ・マンリー氏は次のように話す。「テクノロジーの進歩は、企業レベルのみならず、個人レベルでも、人と人とのつながりやコミュニケーションを大きく変えました。国境や言語の壁を越えて世界中の人がつながり、経験を共有することが可能になっています。この変化に、ブランドとお客さまとのコミュニケーションも対応すべきと考え、取り組みを進めてきました。いまやお客さまは、いつでも・どこでも情報を得たり、ブランドと接点を持つことができる。バーバリーのお客さまが、リアル店舗とデジタルチャネルとの間をシームレスに行き来する中、ブランドに関するフィジカルな体験(オフライン)とテクノロジーを通じた体験(オンライン)をひとつに融合することを重視しています」。
「デジタルに投資する」こと自体を目的化させることなく、顧客とのエンゲージメントを強化し、より良いブランド体験を提供するための手段として、デジタルを取り入れるという発想だ。
積極的なデジタル活用の背景には、ブランドに根づくカルチャーも強く影響していると考えられる。チーフ・クリエイティブ兼エグゼクティブ・オフィサーであるクリストファー・ベイリー氏は、かねてからバーバリーを「オールド&ニュー」なブランドと位置づけ、デジタルに限らず、新しいことに常に挑戦し続ける姿勢を重視してきた。デジタルの導入・活用は、ブランドのフィロソフィーに合致しており、ごく自然なことと捉えられているのだという。
2016年1月14日の第3四半期決算発表によれば、モバイルへの投資によって公式サイト「burberry.com」へのトラフィックが大きく伸び、オンラインコマースが高いパフォーマンスを達成。モバイルからの売上は前年比3倍に伸びたという。マーケティング、コミュニケーションの両方の領域で …