1986年に設立され、今年で30周年を迎えた国際広告賞LIA。豪華な授賞式の代わりに、世界中の若手クリエイターを対象とした教育プログラム「クリエイティブ・カンバセーションズ」が、米ロサンゼルスで1週間にわたって行われるのが特徴だ。ここでは、全15部門のうち5部門の優秀作品を紹介する。
インテグレーション部門グランプリ
コミカルな動画で、SNSへの不用意な投稿に警鐘
デジタルキャンペーン
オールステート保険「Social Savvy Burglar」
担当エージェンシーはLeo Burnett Chicago。
インテグレーション部門の最高賞に輝いたのは、米国の個人向け保険業大手・オールステート保険のデジタルキャンペーン。“Social Savvy Burglar”とは、“ソーシャルメディア通の泥棒”のこと。SNSで「今日は、アメリカンフットボールの観戦に行く」と投稿した夫婦の家に空巣に入った泥棒が、架空のテレビショッピング番組「MAYHEMSALE.COM」で彼らの家財道具を次々と売り払ってしまうというものだ。洗濯乾燥機、オーブントースター、テレビ、テーブルにイス……SNS上で、ハッシュタグ「#MayhemSale(大混乱セール)」を使って、瞬く間に激安価格で売りさばかれていく(実際に販売されたのは、夫婦の家財道具によく似たレプリカ)。
試合会場のモニターに写し出されたテレビショッピングの模様を見て、夫婦は唖然とするばかり。「#MayhemSale」は一時、世界ナンバーワンのトレンドハッシュタグになった。各種メディアにも取り上げられ、キャンペーンサイトのページビューは2日間で3300万にのぼったという。
空き巣の実に78%が、SNSを使ってターゲットを探しているというデータもあるといい、SNSで「いま、○○にいる」とつぶやくことで、その時間に家にいないことが不特定多数の人に知られ、空き巣に狙われやすくなってしまう恐れがある。ムービーでは、ほんの些細な投稿が、どんな被害をもたらし得るのかを …