細分化、専門化が進むマーケティングの世界。ここでは、専門化する領域の中でも、とくに編集部が注目する4つのテーマについて、深堀りしてトレンドを読み解く。
CXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)、CDO(チーフ・ダイバーシティ・オフィサー)など新たに登場する「C?O」人材は、企業がマーケティングにおいて何を一層重視するか、あるいは、いま何に課題を感じているかを如実に表すもの。次に登場する「C?O」とは…? いま求められているマーケティング人材に迫る。
次の「C?O」として筆者が選んだのは、「CMTO」(Chief Marketing Technology Officer)。マーケティングにおけるテクノロジー活用に関する権限を持つ、従来のCMOとCTO(CIO)の両方を兼ね備えたポジションである。
なぜマーケティングテクノロジー?
マーケティングの分野ではデータやテクノロジーの活用が進みつつあり、ビッグデータ、データマネジメントプラットフォーム(DMP)、マーケティングオートメーション(MA)、キャンペーンマネジメントといったカタカナ用語やアルファベットの略語が飛び交う。「マーケティングにテクノロジーは不可欠」「データに基づいたマーケティングの計画と実行、評価が重要」などとも語られるが、単にテクノロジーで自動化や効率化を進めたり、分析に力を入れれば良いというわけではない点に注意したい。
マーケティング・テクノロジーが重要になってきた背景としては、顧客と企業の接点がデジタル化し、ソフトウェア(Webサイトやアプリ)がサービスそのものになってきたことが大きいだろう図1。オンラインで商品やサービスについて調査し、レビューを参考にしつつ候補を絞り込む。ソーシャルメディア上で知り合いと相談する。オンライン見積もりで概算の費用を確かめた上で、そのままECサイト上で購入を完了する。
筆者は米国で3年間生活し勤務していたが、ネット企業ではないオフライン中心の企業であっても、デジタル化が進んでいた。床屋に行くために、混雑状況をアプリで確認し、電話番号のみを入力して予約を完了。店舗に到着した時には優先的に案内され、電話番号に紐づくCRM情報から好みのスタイルを調べた店員が「前回と同じで良いですか?」と尋ねる。
アパレルの店舗では「レシートはメールにしますか?」と聞かれ、メールアドレスを伝えると同時に会員登録が完了、メールが届くようになる。メールアドレスがIDとして機能するため、昔のように物理的な会員カードを持ち歩く必要がない。購入の際に利用したクレジットカードの情報を利用し、過去の購入履歴もそのアカウントに紐づく。
アウトドア系のECサイトでテントを検索し、購入しないでサイトを去ると、翌日に「キャンプに行くなら以下の商品がおすすめ」とメールが届く。クリックしてサイトを訪問すると …