「前例通り」が通用しないのが、変化の激しい今の時代。特に消費者のお気に入りメディアがスマホへシフトするなど、メディア接触が大きく変化する中で、マーケターは常にチャレンジが求められる厳しい仕事になっています。そんな環境にポジティブに向きあい、挑戦を続けている新時代のマーケターの方たちに、現在の課題、そして未来構想を伺います。
ブランドとしての鮮度を常に保ち、売上を伸ばすためにどのような施策を打てばいいのか。この課題の解決のため、デジタルそしてスマホの有用性に着目した日本コカ・コーラの取り組みとは。
八尾良太郎氏が所属するマーケティング本部 IMC コンテントエクセレンスは、日本コカ・コーラのコミュニケーション戦略を担う部署だ。「認知度が高い製品のコミュニケーションは手に取ってもらうきっかけをつくることが課題。飲料は店頭でのコミュニケーションが重要ですが、POPやポスターで購買喚起するのは非常に難しい。そこでパッケージ含めて、製品自体がメディアになるようなコミュニケーションを考えています」(八尾氏)。
こうした志向が結実した好例が「爽健美茶」で2015年春から夏に実施した「爽健美“音”ボトルキャンペーン」だ。ボトルに記載されたシリアルコードをブランドサイトで入力すると、“キレイになるための音楽”をストリーミングできる、というもの。
コミュニケーション戦略のインタラクティブ部分を担うIMC iMarketingアシスタントマネージャーの越智麻央子氏が「今回のキャンペーンではボトル自体がメディアとなり、テレビCMからブランドサイトや店頭まで、連動したコミュニケーションとなりました。“音楽を聴くだけでキレイになれる”というメッセージを受け取った消費者に爽健美茶を飲んでみようと思ってもらえたのだと思います」と話すように、キャンペーンによって売上は大きく伸びた。
今回のキャンペーンのように音楽をストリーミングして聴く場合、デバイスとして多くの人が使用しているのがスマホだ。「ブランドとの接点を増やす意味でもスマホは重要視しています」(越智氏)。
さらに今回のキャンペーンでは情報を拡散・浸透させるためにキュレーションメディアを活用。爽健美“音”ボトルキャンペーンではantenna*に5回出稿した。ターゲット層である女性との親和性が高く、ブランドの世界観を届けられる場であったことが選定の理由だ。
「爽健美茶を飲むことと、キレイになることの関係を、テレビCMの短い時間だけではなかなか伝えられません。その背景を、antenna*でストーリーとして読んでもらい、理解が深まれば、リーチも広がると考えました」(八尾氏)。
CMでは伝えきれない部分を担うのがデジタルの役目だと考える越智氏は、「リッチコンテンツで消費者に寄り沿った形のブランドメッセージを届けられるようにしたい」と考えている。また八尾氏は、「長い歴史を持つおなじみのブランドでも、魅力的なニュースを発信して鮮度をあげていけるように今後も挑戦していきたい」と語った。
![]() |
日本コカ・コーラDelphys、Saatchi&Saatchiを経て、2007年日本コカ・コーラ入社。TEA CATEGORY:⦆綾鷹、爽健美茶、日本の烏龍茶 つむぎ、からだすこやか茶⦆W、JUICE CATEGORY:⦆ミニッツメイド、QOO等のIMCを担当。コミュニケーションブリーフ、コミュニケーションストラテジー開発、クリエイティブ表現など、Liquid & Linkedコミュニケーション開発を行う。
|
![]() |
日本コカ・コーラ 楽天 ECコンサルタントを経て、2014年日本コカ・コーラ入社。TEA CATEGORY:爽健美茶、日本の烏龍茶 つむぎ、JUICE CATEGORY:ミニッツメイド、QooNEW、HYDRATION CATEGORY:アクエリアスビタミン、Toreta!のIMCを担当。SNSやブランドサイト、WebPRなどのDigitalCommunication戦略開発を行う。 |