知識マーケティング
□ 編者/冨田健司
□ 発行所/中央経済社
□ 価格/ 3200円(税別)
知識材を扱うマーケターは「買い手の教育」が成功のカギ
著者である冨田健司氏は大学院生時代、「ナレッジマネジメント」の生みの親である野中郁次郎氏の講義を受け、「知識はマーケティングの対象となるのだろうか?」と考えていたという。「当時は、野中先生の『知識創造企業』が出版されてすぐのタイミング。アイデアが新鮮で、何とか応用できないかと考えていたが、研究に結び付けることのないまま15年ほど経ってしまった。しかし近年、創薬ベンチャーの経営者の話を聞く機会があり、『良い候補物質があるが、売れない』と口を揃えて言うことから、また『知識をどのように売ったら良いのだろうか』と考えるようになった」と冨田氏。
目に見えない「知識」を、商品としていかに販売するか――同氏はその疑問の答えを得るため、マーケティングの書籍を何冊も読んだ。しかし、適切な解答を得ることはできなかったという。「それは、これまでのマーケティング関連の書籍は、どれも暗黙的に物財を対象としていたから。無形財という括りでサービス・マーケティングの書籍も読んだが、知識財はサービス財とも異なるため、やはり適切な解答は得られなかった」。物財と知識財、対象としているものが異なるため、本書はこれまでのマーケティング書籍とは前提から大きく異なるものとなっている。
特に注目すべき箇所としては、知識マーケティングの5つの特性 …
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