「優秀な人材の獲得・維持」は、日米の広告界共通のミッションだ。他業界への流出が続くイノベーティブな人材を囲い込むべく、レピュテーションマネジメントに注力するエージェンシーも増えている。

Advertising Weekの「業界の垣根を超えるクリエイティブ人材」をテーマとしたセッション。
“Famously Effective”
GREY
世界96カ国154都市のオフィスに1万人の社員を抱えるWPPグループのフルサービスエージェンシー・GREY。一時低迷していた同社が、ここ数年で本社従業員数3倍と規模を大幅に拡大し、驚異のV字回復を遂げたのは、CCOを務めるTor Myhren氏がクリエイティブ出身者として初めてニューヨーク本社社長に就任した2007年以降のことだ。成功の鍵は、クリエイティビティを最重視する企業文化を浸透させ、維持していることにあるという。「GREYにとって最も重要なファクターはクリエイティビティ。クリエイティブ出身の私がトップに就いたのも、この方針を明示するための人事と言えるでしょう。営業部門の3倍の数の社員を擁するクリエイティブ部門が、会社を牽引しています」とMyhren氏。
そうした優れたクリエイティブを生み出す優秀な人材の獲得について、Myhren氏は「最大の脅威は、才能ある若い世代。こうした人材がテクノロジー企業に流れたり、あるいは自ら起業して、広告界に入ってこなくなりつつあることに強い危機感を覚えています」と話す。今後エージェンシーは、子どもたちがこの業界に興味を持ち、この業界に関わりたいと思えるような、世界を変える斬新なアイデアを生み出さなければならないと強調する。
斬新なアイデアを、これまでにない形で具現化することに加え、その施策が広く世の中で知られること、また手がけた企業がどこかであるかを知られることが、優秀な人材の獲得という視点においては不可欠だ。いま …