デジタルテクノロジーの進展はファッション業界にあらゆるフェーズで抜本的な変化をもたらしている。『WIRED』編集長の若林恵氏、三越伊勢丹ホールディングスで新たな事業開発に取り組む北川竜也氏、ファッション・ビューティー分野に特化したブランディングエージェンシー「SIMONE」を率いるムラカミカイエ氏に、電通の京井良彦氏が「ファッション×テクノロジー」が向かう未来について聞いた。
日本のファッションビジネスは60年更新されていない!?
京井▶ 今日は、ファッションとテクノロジーの融合をテーマにディスカッションできればと思います。「デコーデッドファッション」は、元CBS報道プロデューサーのリズ・バセラー氏が2012年にニューヨークで創設した、ファッションとテクノロジーの融合を目指すイベントです。今日お越しいただいた3人は、いずれもこのイベントに登壇されたスピーカーの方々です。
北川▶ 三越伊勢丹ホールディングスで、秘書室特命担当という怪しい役職を(笑)いただいています。前職でEコマースをしていて、三越伊勢丹の大西(洋)社長に会い、百貨店にはインターネット業界垂涎のリアルコンテンツが山盛りなことに衝撃を受け、2013年、思い切ってジョインしました。
若林▶ 『WIRED』は、デジタルテクノロジーを軸に、あらゆるテーマを扱うメディアです。デジタルは既存の業界のピラミッド構造をガラガラと崩していて、ファッション業界も例外ではありません。デコーデッドファッションは、WIREDでファッションの特集をしたことがきっかけで、日本で開催することになったイベントです。
ムラカミ▶ SIMONEでは、Webや広告だけではなく、ファッションプロダクトの開発やメディアの開発まで、ブランドをつくる全てのプロセスをワンストップでディレクションしています。中途半端なキャンペーンや販促に力を入れるより、“ブランドのDNAに沿った本来あるべきところにちゃんと置く”ことが何より大切だと考えます。ファッションビジネスの裏側は、もう60年近く変わっていない。でもデジタルを主体に考えれば …