企業が取得できるデータの量や種類は増え続け、分析・活用技術の発展により、パーソナライゼーションの精度を究極まで高めていくことも可能な環境下、企業が目指すべき生活者理解のあり方とは?
人々が24時間365日、肌身離さず持ち歩くモバイル。そのモバイル端末において、高度なセンサー機能などを有するスマートフォンが浸透したことで、企業が取得できる消費者のデータは増え続けている。Webアクセスログや位置情報、バーコードスキャンによる購買ログなど、日々膨大な行動データ・ログが生成され、それが自動的に収集できる仕組みが整いつつある。つまりは、オフラインの行動まで捕捉できるようになりつつあるのだ。
リアルタイムに行動データを取得
スマートフォンの登場・浸透は、ネットリサーチの方法や精度にも大きな影響を及ぼしている。これまでのネットリサーチは、PCを立ち上げて「1週間前の休日にしていたことを聞く」など、過去を振り返りながらアンケートに回答する形式が主流だったが、スマートフォンが普及したことで、人の行動に24時間・365日密着しながら、対象者に比較的負担をかけない形で調査を行うことができるようになっている。
「その瞬間のリアルな行動データを取得できるようになったことに加え、行動の記録を、テキスト情報はもちろん、写真や動画といった形でも残してもらうことができるようになった。生活者一人ひとりの行動や嗜好を明らかにする上で、より多角的・複層的な情報収集・分析が可能になったと言えます」と、インテージ リサーチソリューション開発部 グループリーダーの小島賢一氏は話す【図1】。スマートフォンによって、1回のリサーチ結果から得られるデータだけでなく、一人の人に紐づく、継続的かつ包括的なデータの取得が可能になってきている。
こうしたリサーチで得られるデータにより、マーケティング・コミュニケーションにおいて、できることの幅は広がっている。例えば、「その人は、購買する商品をどのタイミングで決定しているのか」「購買決定にあたり、どの商品と比較検討しているのか」「購買を検討していたのに、最終的に買ってもらえなかったのは、なぜか」といった、リアルな購買行動の把握によって、自社商品のポジショニングを見直したり、コミュニケーション戦略全体や店頭販促方法を再検討したりすることができるのだ …