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米国広告マーケティング事情

米食品・外食業界で加熱する「食の安全性」キャンペーン

松本泰輔

新たな手法やテクノロジーなど、米国企業が取り入れ始めている最新のマーケティング実例を現地よりレポートする。

チポトレ・メキシカン・グリル:食の安全に関する情報を提供
業界で初めて「GMOフリー」宣言したメキシカン・ファストフードチェーンのチポトレ。同社Webサイトでは「GMOとは何か」「どういった食品にGMOが含まれているか」などを記載し、食に関する情報開示と安全性の啓蒙を行っている。

ファーストフードチェーンのチポトレ・メキシカン・グリルは4月27日、「GMO(遺伝子組み換え作物)を使った商品はメニューからすべて削除する」と発表し、2013年に同社が宣言した「2年間でGMOの使用をやめる」という公約を果たした。実際に「GMOフリー」を謳ったレストランは業界初だが、今年上半期には他にも多くの食品会社やレストランが相次いで「食の安全性」をアピールするキャンペーンを行うなど、いま食品産業界が揺れている。

業界初「GMOフリー宣言」

食の安全性やオーガニックな農作物を支援する非営利団体Center For Food Safety(CFS)によると、米国内のとうもろこしの93%、大豆の94%、オイルの元となる綿の96%が、それぞれGMOであると発表している。また、スーパーで売られている商品のなかで炭酸飲料、スープ、菓子類、調味料などの加工食品の最大75%がGMOを含んでいるとも推測する。CFSは「長年の研究によりGMOが農家・消費者・家畜・環境に与える悪影響は証明されているが、それらを禁ずるための法令化はなされていない」と警鐘を鳴らす。

チポトレの創業者・会長・共同CEOであるスティーブ・エルス氏はプレスリリースで「多くの国々がGMOの規制や禁止を行っているが、真実を解明するにはさらに多くの研究が必要。まださまざまな議論が行われている最中ではあるが、当社ではすでに『GMOフリー』で行こうと決めた」と発表した。

ラベル添付の義務化

ホールフーズ・マーケット:店内の全商品にラベル表示めざす
非営利団体Non-GMO Projectが認証したラベル「Non-GMOラベル」を貼った商品を陳列するホールフーズ・マーケット。「食品にGMOが入っているか否か、消費者は知る権利がある。2018年までに、店頭に並ぶすべての商品をラベル化する」と店内でキャンペーンを行っている。

オーガニック専門スーパー大手のホールフーズ・マーケットは2013年、他社に先駆けて「2018年までにすべての食品にGMO含有の有無を知らせるラベル貼付を義務づける」と宣言した。現在では非営利団体Non-GMOProjectが認証した「Non-GMOラベル」を商品に貼り、店内で積極的にプロモーションを行っている。同社共同CEOのウォルター・ロブ氏は「GMOラベルを活用し、消費者が知る権利をサポートする」とホームページで述べている。

焼きたてパンや軽食などで有名なレストランチェーンのパネラ・ブレッドは5月15日 …

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