いま企業のコミュニケーション、さらに経営において、広告やパッケージといった“狭義のデザイン”のみならず、企業のもつ資産を社内外に伝えたり、経営トップのメッセージを具体化したり、事業のアイデアを具現化するなど、ビジネスのさまざまな場面で“広義のデザイン”が求められている。本セミナーでは、デザインの力でさまざまなビジネス課題を解決してきたライトパブリシティのこれまでの取り組みと、いま考えていることが語られた。
第1部
売れるデザイン、効くデザイン。
「デザイン×◯◯」の発想で、企業の新たな価値をつくる
1951年の設立以来、インディペンデントな広告制作専門会社であり続けてきたライトパブリシティ。杉山氏は、昨今、企業において、ロゴやパッケージ、広告など具体的な形や美的スタイルをつくる「狭義のデザイン」だけでなく、コンセプト・経営戦略・マーケティングなどを設計する「広義のデザイン」が重視されていることを指摘した。こうした中、同社も企業や社会の問題をデザインで解決する組織体「デザインファーム」へと移行しつつあるという。セミナーでは、同社のコミュニケーションデザインの事例も紹介。三越伊勢丹グループの企業ブランディング「this is japan.」を例にとり、「企業のこれからの目標を可視化し、社員を起点に、顧客、そして広く社会へと伝えていく方法を考えることもデザインの一つ」と説明、来場した企業の宣伝・広告担当者に、「『広告』という形に捉われず、デザインによるコミュニケーション問題の解決に視野を広げてほしい」と呼びかけた。
ライトパブリシティ 代表取締役社長杉山恒太郎氏
今年4月、ライトパブリシティの4代目代表取締役社長に就任した杉山氏。
第2部
いま私たちがデザインについて思う本当のこと。
デザインは、相手を思いやることから始まる
化粧品メーカーと広告制作会社、所属は異なるものの、ともに課題解決のためのデザインに取り組み続けてきた2人。広義のデザインとは、思いを馳せること─対談の中で、両氏はそう口を揃えた。国井氏は、伊藤忠商事の新しい企業スローガン「ひとりの商人、無数の使命」を例に挙げ、この言葉をまず社内で浸透させ、その次に社外へと広げていくコミュニケーションの“筋道”の設計が重要だったと話す。「企業がめざす方向性を社内外の方に示すスローガン。誰に、どんな順番で、どう伝えれば、機能するのか。広義のデザインが求められました」。吉田氏も、「デザインは、メッセージを分かってほしい人に、分かってもらうためのもの。例えばコピーも書いて終わりではなく、それが社内や社会の中でどう伝わっていくのか、その設計こそ肝心だと思う。どう言えば聞いてもらえるのか、思い込みを捨てて、お客さまの立場で考える。そういう思いを馳せる姿勢が、デザインには不可欠」と話した。
資生堂 宣伝・デザイン部 クリエイティブディレクターコピーライター 吉田聖子氏
ライトパブリシティ クリエイティブディレクターコピーライター 国井美果氏
いま求められる「広義のデザイン」には、相手の立場に立って考える「思いやり」の姿勢が不可欠だと話した。
お問い合わせ
株式会社ライトパブリシティ http://www.lightpublicity.co.jp/
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