身だしなみに気を遣う男性が増えることで、年々注目を集めるようになってきているのが、シェーバー・グルーミング商品の市場。フィリップスに、同社のヘアーカッター、ヒゲトリマー、鼻毛トリマーといった商品のブランディングについて聞いた。
シェーバー・グルーミング
フィリップス エレクトロニクス ジャパン
雑誌のタイアップ広告をセグメントごとに出し分ける
男性の美容意識の高まりにより、髪の毛を自身でカットしたり、ムダ毛処理するといったグルーミングの市場が伸びている。フィリップスでは、各種グルーミング商品をそろえており売れ行きは年々伸びている。同社シェーバー・グルーミングのマーケティングマネージャーである藤井崇雅氏は「髪の毛であれば、サロンで行ったスタイルをキープするため、自身でメンテナンスのためのカットを行いたい、といった意識が高まっています」と話す。ただ、グルーミング関連商品が伸びているといっても、市場はまだ電気シェーバーの10分1程度。限られた予算を有効に活用するためにもターゲティングを精緻に行い、最重要見込み客として7つのセグメントを抽出した。それが「僧侶」「野球選手(小中高生)」「自衛隊員」「高校生」「ファッション高感度層」「LGBT*」「アクティブシニア」だ。これらのセグメントとコミュニケーションするために、主に雑誌広告やイベントを活用している。「グルーミングはパーソナルなケアなので、マスメディアによる訴求だと個別のニーズに応えるのが難しい。だから細かなセグメントに向けた雑誌やイベントを活用する方がコスト効率良くしっかりコミュニケーションできます」。
「僧侶」に向けては『月刊住職』という住職に向けた雑誌に3年前から広告を掲載。クリエイティブについてもコピーを工夫するなどして、セルフケアが簡単なことを訴求。「自衛隊員」向けには、基地内で配布されているフリーマガジン『JDAclub』(約10万部)を活用。「男子高生」の場合は、高校生のスナップを中心とする雑誌に編集タイアップ広告を出稿している。「タイアップ広告だと、より理解を促進できます。また作成したコンテンツをWebサイトや店頭販促ツールなどに二次利用することもでき、効率化が図れます」と藤井氏は話す。
「ファッション高感度層」向けでは、パリ発のファッション展示会Man Tokyoで体感イベントを実施。さらに、最近注目を集めている「LGBT」については、LGBTパレードにいち早く協賛し、過去3年にわたりブース出展してきた。
こうして雑誌やイベントを中心に興味を高めた人の受け皿となるのが、Webサイトだ。ただ、ここでも商品のスペックを中心とした訴求ではなく、興味あるコンテンツを充実させている。例えば、鼻毛トリマーの場合「鼻毛が出ていると愛情がダウンする」とった調査結果を基にコンテンツを作成し、「奥まで届いて痛くなくカットできる」という商品特性の訴求につなげたところ、キャンペーン実施月の家電量販店での売上げが180%になったという結果も出ている。
また、同社のウェブサイトのもう一つの特徴が、コンバージョンを高めるコンテンツのすぐ近くに「商品購入」ボタンを点在させているところ。「ヨドバシ.com」など、複数の大手家電量販店のECサイトの商品ページに直接つながる仕組みになっている。「コンテンツを読んで商品に興味を持ったら、そのまま商品購入に結びつけることが狙いです。コンテンツの力もあって成果につながっています」と藤井氏。
同社では、全社的にコンバージョンを高めるマーケティング施策を強化するようになっており、そこから逆算してブランド情報の出し方を考え …