GPS機能のついたスマートフォンの浸透で、ユーザーの行動履歴を緻密に把握できるようになっている。「消費者の時間、場所、オケージョン」を基にターゲティングした広告配信が可能となる、シンガポールに本社を置くAdNearが日本に進出。日本市場ローンチを記念し、ジオデータの活用可能性をテーマにセミナーが開催された。
ジオデータをもとにスマホに広告を配信
5月12日にAdNear(アドニア)主催、宣伝会議協力でセミナーが開催された。アドニアはユーザーの位置情報をもとにしたターゲティングが可能なスマートフォンのアプリ向け広告枠を提供するアドテクノロジー企業。今回のセミナーは、5月にシンガポールに本拠を置く同社が日本市場でサービスをローンチしたことを記念して開催された。当日は同社のFounder&CEOであるAnil Mathews氏も来日し、キーノートスピーチを行った。
登壇したアドニア・リージョナルディレクターの猪谷久氏は「消費者の時間、場所、オケージョンを意識した広告配信」、「消費者の行動履歴をベースにしたオーディエンスターゲティング」、さらに広告配信後「オーディエンスの動向やエンゲージの場所と時間を可視化」できる点をアドニアだからこそ提供できる価値と説明した。
海外の先行事例としてファストフードやガソリンスタンドなどによる店舗集客のための利用ケースも紹介されたが、アウディなどの企業による顧客とのエンゲージメント強化を目的とした活用ケースも紹介された。猪谷氏は「広告配信後、クリックされた場所と時間を把握することができる。ブランドマーケターが、消費者理解のために活用するケースも多い」と話した。
その後、猪谷氏に加えて、ロッテ・マーケティング統括部・チョコレート企画室の村尾雄一氏、ニフティ・ネットワークサービス事業部・ISP企画営業部・主任の橋本昌和氏も登壇してのパネルディスカッションも実施。ブランドマーケターにとってのジオデータ、スマートフォン活用の可能性について議論を行った。ニフティの橋本氏の部門では、インターネット回線の販売を担当しているが、お客さまの需要が顕在化するのは結婚や引っ越しなどのタイミング。「競合他社との戦いの中で、いかにコトが起きる前に、その予兆を察知できるかが大切」と話し、より緻密にユーザーの行動履歴を把握できる、スマートフォン、ジオデータの活用に期待を寄せた。
また「コアラのマーチ」など、チョコレート菓子を担当するロッテの村尾氏は「認知度の高い商品の場合、マス広告を打つだけでは、なかなか商品が動かなくなっている。自社の商品がどんな時間にどんな場所で、食べられているのかを理解しながら、より緻密なコミュニケーション設計が必要と考えている。消費者をより深く理解するためのアドテクノロジー活用という観点は面白い」と話した。
猪谷氏は「デジタルは能動的にアクセスするものなので、コンバージョンに結び付きやすいメディアとして捉えられているが、マス広告で認知を獲得した後、行動につなげるまでの間を埋めるメディアが少ない状況だ。マス広告で認知をした後、能動的な行動につなげるまでのエンゲージメント醸成を得意とするのが、アドニアのサービス。店舗のある小売・流通、サービス業だけでなく、広くブランドマーケティングにも活用をしてもらえると考えている」と話した。
アドニア リージョナルディレクターの猪谷久氏。
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